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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

平塚市のスーパーでエスカレータの手すりに挟まれ小学生が重体に

2007年10月16日、神奈川県平塚市のにあるーパーマーケットのエスカレータで学校3年生の男児がスロープ式エスカレータで手すりとアクリル樹脂製の固定保護板との間に頭を挟まれ一時意識不明の重体となった。手すりから身を乗り出したことが事故のきっかけであるが、固定保護板の設置方法にも問題があったとされている。

経過

10月16日午後4時頃、小学3年生(9歳)の男児が友達と、10月18日に予定されている遠足用のおやつを買いに、近くのスーパー西友平塚店に出かけた。

地下1階の売り場でおやつを買った後、1階に行くためスロープ式のエスカレータに乗ったが、50円玉を地下1階のフロアに落としてしまった。

男児は左側手すりから身を乗り出して下を覗き込んでいたところ、1階近くのアクリル樹脂製の固定保護板(幅145cm)と手すりのベルトの間約15cmの隙間に頭を挟まれたまま上昇し、石膏ボード製の柱の壁にぶつかった(図3)。エスカレータは停止することなく動き続けた。

一緒にいた友達が騒ぐのを聞きつけた店員がエスカレータの緊急停止装置を作動させ停止し、男児を救出した。ぐったりした男児は駆けつけた救急隊員により病院に搬送されたが、意識不明の重体であった。

幸い、10月19日に男児の意識が戻り、24日には退院することが出来た。

なお、事故を起こしたエスカレータと保護板は、シンドラーエレベータ社が製造し、民間の指定確認検査機関イーホームズ(その後廃業)の検査を経て2005年4月に設置された。シンドラー社が年1回の定期点検を実施していた。

原因

1.頭部を挟まれた原因

・手すりから身を乗り出したことが、事故のきっかけである。

・手すりと固定保護板の距離(約15cm)が男児の頭部寸法に近かった。

2.挟まれ防止対策の不備

報道では、規定に対して固定保護板の長さが不足していた(規定は手すり上部から20cm以上に対し約2cm)ことを指摘しているが、規定通りの長さであっても挟まれ事故は発生する。手すりと固定保護板の間に挟まれないような構造でなかったことが原因と考えられる(対策欄参照)。

対処

10月17日、国土交通省は、各都道府県に対し「エスカレーターの交差部に設ける保護板の緊急点検について」として、今回事故を起こしたエスカレーターの保護板の下端が手すりの上端部から下方に約2cmしか届かない長さとなっており、建築基準法に適合していないことが判明したとして、保護板の設置状況について緊急点検の実施・点検結果の報告、及び(社)日本エレベーター協会が作成した「エスカレーターの利用の際の注意事項」を参考に、今般の緊急点検の機会を捉えて、顔や手を乗り出した利用は大変危険であること、必ず黄色い線の内側に立つこと等の利用者に対する注意喚起の徹底を、建築物の所有者又は管理者に対して指導するよう文書で依頼した。

知識化

1.法の基準を守っているからといって、必ずしも安全とはいえない。

検査合格はあくまで検査基準に対する合格であって、真の安全性を担保するものではない。

2.規定の解釈で構造が変わる。

シンドラー社は、事故の2日後に保護板の前縁部が手すり上面から23cmあるとして、建築基準法に従っているとシンドラー社のホームページで述べた。規定の表現は「固定保護板の下階側前縁」の寸法としているので、「前縁」がどこを示すかで解釈が変わってしまう。規定は解釈が変わらないように明確に示すことが不可欠である。

3.法の基準を制定した者は、その基準が有効かつ適切であることを立証する必要がある。

この事例では、再現実験によって、基準そのものに妥当性に欠ける部分があることがわかった。

背景

エスカレータで天井や隣接エスカレータとの間に頭部などが挟まれる事故を防ぐため、2000年の建築基準法改正(旧建設省、現在の国土交通省告示)で、従来の三角部ガード板(可動式)に加えてエスカレータの交差部に以下のような固定保護板の設置を義務づけていた。

「固定保護板の下階側前縁は、衝突時の怪我と破損を防ぐため厚さ6mm以上の角がないものとし、前縁の長さはハンドレール上面から鉛直下方に20cm以上とすること。ただし、鉛直下方に伸ばせない場合は、その下端をデッキボード上に載せてもよい。」

後日談2008年4月4日、平塚警察署は固定保護板が建築基準法の設置基準より短かったことが、事故につながったとして、シンドラーエレベータ社の社員と設置請負業者の社長、取り付け業者の社長、そして民間検査機関のイーホームズ社の検査担当者2名の合計5名を書類送検した。2005年1月~3月、シンドラーエレベータ社から固定保護板設置を請け負った業者は基準より短い板を設置、イーホームズ社の検査担当者は長さを測らずに検査済み証を発行、またシンドラーエレベータ社の社員も保護板の長さが不足していることを見逃したとしている。

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載しました。

 

大きく報道された事故ですからご記憶されている方も多いと思います。また、大きく報道された原因は、2006年6月03日、東京都港区芝の「シティハイツ竹芝」で発生したエレベータによる挟まれ事故と同一メーカのエスカレータだったからだと思います。

人や物を移動させる時、水平方向より上下方向に動く方がエネルギーを必要とします。下に行くのは簡単だと思う人もいますが、わずか1メートルの高さを越えたら相当危険です。高齢者の場合死亡事故にもなりかねません。

地球の重力に逆らって上に行くには、重力以上の力を加えて人や物を動かさなければなりません。また、「落ちる」のではなく「降りる」ためには、やはり重力を制御して下降速度を一定にする必要があります。

 

安全の定義は、色々ありますが私が好きなのは

「安全とは、危険が制御された状態」(ICAO国連国際民会航空機関)

です。注意して頂きたいのは「危険が存在しない状態」ではないと言うことです。

日本は「安全な国」です。事故、事件の少なさは世界トップクラスです。さらに、救急医療も非常に発達しています。しかし、逆にそのことが人々に安心感を与えすぎて不慮の事故の原因にもなっています。上記の事故が発生したような場面は、私も見たことがあります。小学校高学年くらいになると、エスカレータの手すりから身を乗り出す子供が必ずいます。私は、2回ほど「危ないから止めなさい」と注意したことがあります。2回とも素直に注意に従いましたが、親の姿は見えませんでした。「安全なところだから」と考えて買い物をしているのでしょう。勿論、それは良いことです、近所のスーパーで買い物をしている最中も子供の事故死を気にしなくてはならないようでは、とても先進国とは言えません。しかし、危険は存在しないのではなく、制御されているだけであり、一寸した不注意からその制御が効かなくなることがあることは意識しておくべきです。

六本木ヒルズでの回転ドア事故の時、東京消防庁は管轄区域内において、自動回転ドア、エスカレーター、エレベーターにおける事故で救急車が出動した回数の調査を行いました(2004年)。その結果は、自動回転ドアが23件、エレベーターが70件、エスカレーターは1014件です。これは、東京消防庁管轄内のみの数字であり、また、救急車の出動あるいは報告があった件数のみを集計したものです。救急の出動要請のないケースを含めると、全国では相当数のエスカレーター関連の事故が発生していると予測さます。

現在、エスカレータの設置数は全国で約6万台。エレベータは約55万台だと言われています。エスカレーターの台数はエレベーターの約1割にも関わらず、事故件数では約15倍にもあります。これは非常に多いと言えるでしょう。その中でも、子どもと高齢者の事故が多いことが分かっています。(日本エレベータ協会のデータ)。

その原因の多くは、「転倒・転落」で95.7%もあります。東京都の年齢区分率人口と照らし合わせた場合、人口10万人当たりの事故遭遇率でみると、エスカレーターでの事故は60歳を超えると増え始め、85歳~89歳が最多の29.3人となっている。次いで多いのが90歳以上の27.5人、最も少ない15歳~19歳の1.3人と比べると、20倍以上です。階段の転落事故もそうでしたが、エスカレータは、タイミングを合わせられなかったり、雨の日は滑ったりと高齢者には危険な乗り物です。お気を付け下さい。