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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

中部電力浜岡発電所で原子炉圧力容器底部にひび割れ

工場・施設の事故

ご注意、最近の話ではありません。

1988年(昭和53年)9月17日、静岡県小笠郡浜岡町佐倉にある、中部電力株式会社浜岡原子力発電所1号機で、原子炉圧力容器底部に軸方向に長さ約13 mmのき裂があり、取付け溶接部より下方で、ハウジングを貫通していた。き裂は、形状等から応力腐食割れと判断された。

対処

対策として、インコアモニタハウジングを拡管するとともに、き裂部位にはスリーブ(さや管)を取付けることとした。当該ハウジング以外のハウジング全数(29本)について、内面目視検査と渦流探傷試験によって調査した結果、いずれも健全であることが判明した。

ハウジングの応力腐食割れは、定期検査中に発見された。仮に運転中に漏洩が生じたとしても、漏洩量が少ない段階で検知し、原子炉の運転停止などの適切な措置をとることが可能である。応力腐食割れの進展速度は緩やかで、き裂は軸方向であり、材料の破壊靭性が高いことから、ハウジングが全周にわたって破断することはない。したがって、ハウジングの応力腐食割れと軽微な漏洩が、安全上重大な事象に発展する恐れはない。

ハウジングの応力腐食割れの事例は他になく、また、安全上重大な事象に発展する恐れもないので、他プラントにおいて新たに特別な措置を構ずる必要はないと考えられる。しかし、念のため、ハウジングの材料を溶接工法が類似の下記の8プラントについて、今後の定期検査の時期を利用して、ハウジングの全数の点検を、逐次計画的に実施していくことにした。

・ 東海第二発電所

敦賀発電所1号機

福島第一原子力発電所1号機

福島第一原子力発電所2号機

福島第一原子力発電所3号機

福島第一原子力発電所4号機

福島第一原子力発電所5号機

・ 島根原子力発電所1号機

なお、浜岡原子力発電所2号機では、ハウジングの溶接部形状と溶接工法(水冷溶接の採用)が変更され、さらに浜岡原子力発電所3号機では、ハウジングの材料がSUS316LCに変更されている。他プラントも同様である。

対策 インコアモニタハウジングの原子炉圧力容器底部への取付け溶接に際して、溶接入熱が大きかったため、ハウジングの内表面が鋭敏化し、引張残留応力と溶存酸素を含む高温水環境の共同作用で、応力腐食割れが発生し、軽微な漏洩に至った。現地溶接施行に関する詳細な施行手順と管理要領を定める必要がある。

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載しました。

 

原子力産業がもたらした恩恵の一つに、金属材料の耐力が詳細に研究されたことが挙げられます。過酷な環境の中で使用しますから使っている金属の限界が通常より早く見えてくる訳です。初期の頃、原子炉内の使用材料はSUS304または、SUS316と呼ばれるオーステナイトステンレスが使われていました。しかし、現在はSUS316Lと呼ばれる極低炭素の材料が使用されています。私の会社でも時々使用しますが、材料単価は、SUS304の3倍です。また、流通量が少ないため入手に時間が掛かることが多く、サイズも豊富ではありません。SUS304なら、丸棒の場合、直径2ミリから30ミリまで2ミリ飛びに在庫されていますが、SUS316Lは、4ミリ飛び、少し太くなると6ミリ飛びになってしまいます(もっとも、こんな話は普通の方にはどうでも良いですね)。

また、非破壊検査と言う金属の内部状態を検査する方法があるのですが、これが発達したのも原子力産業の御陰と言って良いと思います。なにしろ、外側から検査して金属の内側にある亀裂が正確に分るのですからこんな便利なものはありません。現在では、ビル建築の鉄骨も、溶接した部分にヒビが入っていないかを非破壊検査でチェックしています。さらに、テラヘルツ光検査と呼ばれる進化した非破壊検査も生まれつつあります。

昔は、戦争が科学技術を発達させると言われていました。命を賭けて戦う訳ですから相手の上を行くためには当然です。より早く、相手よりも強力な武器を持ち、相手の状況を把握して重要な拠点を攻撃することが勝利に繋がります。そのために、ドイツもアメリカも日本も必死でした。その後の冷戦時も同じでしょう。しかし、現在、大国間同士の戦争はありませんから、それに次ぐ過酷な状態として原子力産業があるのかもしれません。ですから、戦争反対を叫ぶ人と原子力反対を叫ぶ人が同じ括りになるのだと思います。

私は、原子力反対ではありません。改良すべきところを改良して安全に運転すれば良いと思っています。もちろん、その際に隠し事はなしです。ですが、エネルギーを大量に作り出して大量に使用するより、低消費・省エネを考えましょうとも思っています。日本の経済状態を称して「失われた10年、20年」と行っていますが、現在の日本の電力消費量はバブル真っ盛りの頃(1990年頃)と比べても3割近く増加しています。本当に不景気なのでしょうか?

沢山食べて、ダイエット運動するより、初めから食べる量を少し減らしましょうと言うことです。