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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

106年前、世界最長の橋になるはずだった「ケベック橋」は建設中に崩壊

工場・施設の事故

1907年8月29日、カナダのカナダのケベック市に建設中であったケベック橋が、長さの延長における圧力増加により崩壊し、建設作業に当たっていた作業員75人が死亡した。

事象

カナダのケベック市から数マイルの場所に建設中であったケベック橋の1部が崩壊し、約15秒と言う速さでローレンス川に崩れ落ちた。この事故で、橋の建設作業に当たっていた作業員75人が死亡した。ケベック橋が完成すれば、100年前では世界最長の橋となる予定だった。

経過

建設工事初頭の約8年間は、橋梁建設で名の知れた米国のエンジニア、クーパー氏を中心として工事が行われていた。クーパーは、陸続きで橋を架ける目的で、初期に設計された橋の長さ1600フィートを1800フィートに変更した。工事はフェニックス橋梁会社が請け負うことになるが、建設に十分な資金がなかったため、クーパーの経歴を信用して、変更における圧力増加の十分な研究をしないまま工事が進められた。1903年、カナダ政府から670万ドルのケベック橋の建設費用を獲得し、やっと工事が軌道にのるが、橋にかかる圧力は人々が想像していたよりもはるかに大きく、クーパー氏がやっと危険を察知した矢先の1907年、ケベック橋の南方定着部の圧縮弦材が切れて、南アンカーと片持部、そして中央スパンの約19,000トンがローレンス川に崩れ落ちた。そしてこの事故で、作業にあたっていた86人の作業員が川に落ち、うち75人が死亡した。

原因

橋の長さの延長における圧力増加により、南方定着部の圧縮弦材の2箇所が、その格子造りになっている部分の破裂、または格子造りに使用されているラティス(鋲)が剪断されたことにより崩壊した。

知識化

すばらしい経歴を持ったエンジニアでも、実働調査なしでは成功できない。また、すばらしい建築物は人が精魂を込めないと完成されない。

建築におけるどんな小さな変更であっても、それによって予想外の結果がもたらされることを認識し、検査、研究を進める必要がある。

 

///// ここまでは失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

 

この橋は、この後にも建設中に崩壊している。上記の失敗を詳しく調査し、5年後に工事を再開したものの、1916年9月、水面より4mつりあげられた鋼製トラスがジャッキの破損で水没し、11人の犠牲をだしている。一体何を調査したのですか?

結局、橋が完成するのは1919年12月3日である。

完成した橋の全長は987m(3,239フィート)の鋼鉄製のトラス橋。

支間長は549m(1,800フィート)で、1929年にアメリカ合衆国ミシガン州デトロイトとカナダのオンタリオ州ウィンザーを結ぶアンバサダー橋が完成するまでは世界最長であった(10年間の世界一)。

またこの橋には高速道路、鉄道、歩行者用の3つのレーンが通っている。

構造計算が終わって、工事を始めてからの設計変更は危険である。特にケベック橋のように200フィート(約60メートル)も距離を伸ばすような場合は、変更と言うよりも再設計みたいなものである。工事の途中で圧力増加による誤差の拡大が何度も報告されていたというから、その時点で対策を採れば75名の犠牲者は出なかったと思う。1万9千トンの橋と一緒に川へ落ちるのは、事故としても悲惨である。

この事故は、技術者倫理の事例としても良く取上げられている。予見できたのはずと言われているからである。技術者は、自らが設計した製品・構造物に対して大きな責任がある。工事中は工事を行う作業者に対して、工事が終わって一般に使用されるようになってからは公衆に対して責任がある。経験と勘だけで安易に変更を行うと上記のような事故は何度でも発生すると思う。