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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

愛知県武豊町の火薬工場での爆発事故・火薬の長期保存は危険

2000年(平成12年)8月1日、愛知県武豊町の火薬工場で、火薬類一時置場に長期間存置されていた無煙火薬の一部が太陽光の差し込む西側に置かれ、温湿度管理が不適切であったこと等により劣化し、自然発火した。この火が一時置場内の他の火薬類に燃え移り、高温に晒された無煙火薬が爆発した。当該一時置場は跡形なく、吹き飛び、また、床には大小13個の漏斗孔が形成されていた。工場内の建物は全壊29棟など合計320棟が被災した。工場外の被害は79名が負傷し、周辺の家屋等は888棟が被災した。さらに飛散物が周辺の田畑に飛散し、周辺住民に大きな被害を与えた。

 

経過

2000年8月1日 当該一時置場には無煙火薬約7.1トン、過塩素酸塩を主とする火薬約0.6トンが存置されていた。

またこの日は工場休業日のためほとんどの従業員は出社していない。

前日の7月31日15時に、当該一時置場で無煙火薬36kgを搬出するとともに、他の無煙火薬31kgを搬入する作業を行なったが、作業員の報告では無煙火薬の異状や異臭等の異常現象は特に認められなかった。

8月1日22:09:10 当該一時置場の警報装置が作動した。当該置場の扉又は窓が開放したものと推定される。

22:09:23 警報装置が解除されており、伝送ケーブルが切断されるような事象が起こったと推定される。

22:09:29 当該一時置場の近隣の工室の警報装置が作動し、これらの工室の窓や扉に影響する事象が発生したものと推定される。

22:09:30以降に当該一時置場の近隣工室以外の工室の警報装置が作動した。この時点で大きな爆発が起こったものと推定される。

当該一時置場は鐵骨が変形して残っているのみで、屋根及び壁材は全て飛散し、全壊した。また、床には大小13個の漏斗孔が形成されていた。79名が負傷したが、全て第3者であった。周辺の家屋等は888棟が被災した。内訳は全壊12件、半壊26件、一部破損440棟、ガラス破損364棟、その他46件だった。

原因

無煙火薬を数年間にわたり一時置場に放置して劣化し、自然発火したものと考えられる。具体的には、当該一時置場に長期間存置されていた火薬類の一部が太陽光の差し込む西側に置かれ、温湿度管理が不適切であったこと等により劣化し、自然発火した。この火が一時置場内の他の火薬類に燃え移り、高温化に晒され無煙火薬が爆発した。

対策

  • 現場職員だけでなく幹部職員も含めて保安意識の向上を図るとともに、法令の趣旨及び技術基準ならびに火薬類の特性等火薬類の製造に必要な基礎知識を身につけるための保安教育の充実を図る。
  • 製造保安責任者の指示が現場で確実に実施されるような体制の確立や監視システムの充実等を行い、ダブルチェックによる保安管理体制の強化を図る。
  • 火薬類の安定性を確認する安定度試験を適切に行う。
  • 太陽光の影響を防止するための適切な遮光措置を講じる。また、温湿度記録計を設置し、温湿度の影響を少なくする措置を講じる。
  • 火薬類一時置場は製造中の中間品を一時的に置くためのものであり、短期間火薬類を保管する場所であることを周知徹底し、存置期限を定める。
  • 一時置場に自動消火設備を設置する。
  • 無煙火薬の保管容器を小さくし、1つの容器に収容する量を少量化する。

 

知識化

  • 無煙火薬は用途により、配合物が異なるため、安定性や経時変化にも差が生じる。
  • 無煙火薬は高温環境に晒されるなど条件によって激しい爆発を起こすことがある。

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した

 

愛知県武豊町では、この事故を重く見てこの事故の後に「火薬類等災害防止協定」を締結している。しかし、町の公開されている広報によれば、上記工場は5年後の平成17年にも火災事故を発生させているようだ。条例とか協定は強制力がないから、会社側に災害防止の強い信念がなければ役には立たないだろう。

上記事故は、死者こそでなかったが、それは工場がたまたま休みの日で誰もいなかったからである。負傷者数は町役場が79名、消防庁は51名と発表しているが、全て地域住民である。また、建物の被害というのは、ほとんどが窓硝子の破損。これは、爆発の衝撃によるものだろう。もし、通常業務が行われている時に事故が発生していたら大勢の人が亡くなっていたかもしれない。

加えて、町役場のサイトや消防庁のサイトには会社名が出ているからそのままここでも載せるが、日本油脂(株)は明治時代かをら営業している老舗の会社であり、大手企業と言ってよい。しかし、そのサイト内には事故のことは書かれていない。経営理念とか倫理行動規範を公表するより事故の原因や内容を詳しく載せ、どのような対策を行ったのかを発表する方が大事だと思うが、日本油脂はそう考えていないらしい。私としては、再び(三度?)事故を発生させないよう願うだけである。