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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

こんにゃくゼリーによる窒息事故、本当に怖いのは・・・

2008年(平成20年)7月29日、兵庫県内で、凍らせたこんにゃく入りゼリーを、祖母が1歳9ヶ月の男児に与えたところ、喉に詰まらせた。 病院に救急搬送されたが、9月20日に亡くなった。

 

経過

国民生活センターの発表によると、この事故以前にも1995年1月以降、15例の死亡事故があり、危険性に関する公表、認識が不足していたと考えられる。

また、この事故に関しては、事故報告を男児の父親からメーカーが受けていながら、具体的な対応をとっていなかったことも公表されている。

10月8日出荷までで、その後は、こんにゃくゼリーの製造を一時中止する。ただし、既に流通しているものは回収しないことを決めた。その後は、TVのコマーシャルで、子供とお年寄りには食べないように呼びかけるとした。

 

原因

  • 凍らせたこんにゃくゼリーを幼児にあたえたこと。
  • 子供と高齢者が食べないようにとのマーク表示があったが、徹底できなかった。マークを見ただけで、これを食べたら喉に詰まり窒息する可能性があるとは到底思えない。

対処

  • 子供と高齢者が食べないように、マークを大きくわかりやすくした。また、個別の包装にも警告マークを記載した。
  • 国民生活センターでは、より分かりやすい表示としたいと言う。
  • 全国菓子協会などでは、子供と高齢者が食べないように警告するマークを表示することを決めた。

 

知識化

最初の事故発生時点での迅速な公表、警告の即時伝達があれば、このような事態にはならなかった。

また、こんにゃくゼリーの事故のことばかり報道されるが、実はもちや米飯、パン、魚介類、肉類などで喉を詰まらせる事故の方がはるかに多い。伝統食品での事故の場合は消費者の方に責任があるとされるのに対し、食品メーカが新たにつくりだした開発食品による事故に関しては、食べたときの危険性やリスクについての知識が十分でない場合が多く、食品メーカの責任が問われやすい。

消防本部及び救命救急センターにおける窒息事故の調査結果によると、一概にこんにゃくゼリーだけが、きわだった窒息原因とは言えないことがわかった。窒息事故の原因が分類ができた事例は432例、うち、「穀類」が最も多く211例で、そのうち「もち」が77例、いわゆる「米飯(おにぎりを含む)」61例、「パン」47例、「おかゆ」11例、次いで「菓子類」62例、魚介類」37例、「果実類」33例、「肉類」32例、「いも及びでん粉類」16例(内しらたき4例、こんにゃく2例)あった。「菓子類」のうち「あめ」22例、「団子」8例で「ゼリー」4 例、「カップ入りゼリー」は8例であった。また「その他」として「すし」が22例、「流動食」8 例などがあった。このことにより、世の中に食品による窒息事故が多くあるということが明らかになった。

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

 

以下は、国民生活センターがこれまで公表したこんにゃくゼリー」による死亡事故一覧

事故発生年月、被害者の性別、事故時の被害者年齢都と住んでいた道府県名

1995年7月男児1歳6ヶ月新潟県

1995年8月男児6歳大阪府

1995年12月女性82歳茨城県

1996年3月男性87歳鳥取県

1996年3月男性68歳静岡県

1996年3月男児1歳10ヶ月長野県

1996年6月男児2歳1ヶ月埼玉県

1996年6月男児6歳茨城県

1999年4月女性41歳東京都

1999年12月男児2歳京都府

2002年7月女性80歳秋田県

2005年8月女性87歳愛知県

2006年5月男児4歳三重県

2006年6月男性79歳兵庫県

2007年3月男児7歳三重県

2007年4月男児7歳長野県

2008年7月男児1歳9ヶ月兵庫県(上記事故)

 

これだけ、発生していたなら公表はするべきだったと思うし、警告文は分りやすく表示すべきだった(現在はそうなっている)。EUでは2003年からゼリー菓子の材料にこんにゃくを使用することを禁じている。さらに、アメリカ合衆国でもほとんどの州で、販売の禁止または事実上の流通停止を行っている。海外では、あっさり販売されなくなったが、元々「こんにゃく」を食べるのは日本人だけである。食べる習慣がないものならば、販売されなくても良いのだ。こんにゃくゼリーは、ゼラチンのものに比べて弾力性が高く、口腔内の温度でも溶解しない。そのため、幼児や老人が噛まずに飲み込んだ場合、喉に詰まらせ窒息する可能性も指摘されている。また、容器から直接口にいれるため、その大きさが適切なのかどうかも論点になっている。

上記事故が大きく報道されメーカは対策を余儀なくされた。例えば、一口ずつ噛み切って食べるようにパッケージへの記載された。また、グルコマンナン濃度の低下(柔らかくなる)や、形状等の工夫がはかられている。

しかし、消費者庁と東京消防庁が行った調査では、「こんにゃくゼリー」の販売を全面禁止にしたところで、食品由来の窒息事故件数はほとんど変化しないと考えられる。不慮の窒息事故件数は年間9000件もあるが、この中には自殺(首つり)も含まれている。食品由来の窒息事故は、全国の年間平均で4000件ぐらいである。全体の件数の中でもこんにゃくゼリーは、少数派である。中には「入れ歯」による窒息などというものがあり少々驚いた。その中で穀類、特に「餅」が圧倒的に多いことが指摘されているが、これは、食べる人も多い。例えば、現在の私は、正月を挟んだ1シーズンに10枚程度の餅を食べていると思うが、こんにゃくゼリーは多分生涯一度も食べていないと思う。そもそも、標的となったメーカの商品は、おやつや通常の食品ではなくダイエット食品として知られているものだと思う。老人は別として、10歳以下の子供にダイエット食品は必要ないだろう。

ここで、話は変る。

ヘビやワニは、獲物を丸呑みにしても窒息しない。羊や牛の子供を丸呑みするアナコンダが「こんにゃくゼリー」で窒息することはない。100個まとめて口に入れても窒息しないだろう、食道と気道の交差の仕方が異なるのである。もし、人が神様によって設計され作られたと言うなら、その最大の設計ミスは食道と気道を交差させる部分だったと思う。今なら、3D-CADがあるから設計が苦手な神様もミスはしないかもしれない、しかし、ヒトが地上に現れた当時残念ながら3D-CADはなかった。

構造的欠陥を抱えた我々「ヒト」は、設計者を責めるわけにも行かずこの先も生きていくしかない。全ての事故について言えることだが、先ず、本人が最大限の注意をしよう。本人が注意できない、赤ん坊、介護老人その他であれば周りが注意しよう。初めて入る建物であれば、避難経路は確認しよう。一寸見て、確認するぐらいなら10~30秒あればできる。普段、自分の至らなさを自覚している人なら、せめてそれくらいはしよう。誰のためでもない、自分のためである。窒息事故など、周りの注意で半分以下に減らすことができると思う。