takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

風力で新幹線は動かない、風力発電の難しさ

発電用風車の出力はどのくらいかになっているか、風力発電用風車1基の定格出力は、2010年現在、日本最大のものでも3,000キロワットである。風力発電の出力は、風車の大きさの2乗に比例する。風車の直径が2倍になれば出力は4倍、直径3倍なら出力は9倍である。そのため、風力発電の風車はどんどん大きくなった。

最大のものは、静岡県の磐田ウインドファームと島根県の新出雲風力発電所にある。「定格出力」と言う言葉を使用したが、最大出力と同義に考えて頂ければ良い。

 

出力3,000キロワットの風力発電機というと、その大きさも迫力がある。タワーの高さは80メートル、ロータ(プロペラ)は直径で90メートルあるので、全体の高さは、80+45となり、合計125メートルである。これは、30階建てのビルに匹敵する高さである。

厚みは、それほどではないが、横幅は直径部分が最大となり、当然90メートルである。エネルギープラントとしては、ダムを含む水力発電の次ぐらいの大きさである。結局のところ、風力は薄く分散したエネルギーを大量に集めなければならず、装置を大きくして対応するしかない。

 

比較するには、形が似ている観覧車が良いと思うので、ご覧頂きたい。

 

ダイヤと花の大観覧車」(東京都江戸川区) 高さ117メートル、ゴンドラ直径111メートル

コスモクロック21」(神奈川県横浜市)高さ 112.5メートル、ゴンドラ直径1 00メートル

天保山大観覧車」(大阪府大阪市) 高さ112.5メートル、ゴンドラ直径1 00メートル

 

観覧車との比較であれば何となく、想像して頂けると思う。

しかし、これだけ大がかりな装置を使っても設備の稼働率は余り高くない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの公的な資料では、一般的な風力発電所の設備利用率を約20パーセントとして試算することが多い。もちろん、事前調査を行い、風の強い地域であることを確認して設置した発電機の稼働率である。

設備の稼働率を比較すると、火力は概ね70~75%、原子力は現在の停止は別として、3・11以前は60%、揚水を除く水力発電は、80%と良く働いている。

 

また、出力で比較しても、火力発電の場合、一系列で150万キロワットクラスは全国にざらにある。原子力なら1基で100万キロワットである。水力は黒部ダムで38万キロワット、一般的な規模で20万キロワットぐらいだ。風力は、3000キロワットで稼働時間は3分の1から4分の1だから、生み出すエネルギーの違いはお分り頂けると思う。

 

しかも、台風、雷などで良く壊れる。山が多く、風向きが変わりやすい日本で風力発電を大規模に導入するのは良い方法とは思えない。少なくとも、私は反対である。