takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

米国のホテル ハイアット リージェンシーの空中通路設計ミス、死傷者300名超の大惨事

1981年(昭和56年)7月17日、米国カンザスカンザス市にある、ホテル ハイアット リージェンシーの吊り下げ式の通路が、建設 1 年後、約 2000 人が集まるダンスのイベント開催当日に崩壊した。

 

経過

天井から吊り下げ式の通路 は柱を共有して 2F と 4F の通路を上下に吊り下げられていたが、4F 通路の接続部が荷重負担に耐えられず崩壊した。この事故による死者は114名、負傷者は200名の大惨事となった。

 

原因

天井から吊り下げ式の通路は柱を共有して 2F と 4F の通路を上下に吊り下げる初期設計案が構造技術企業の監査を通った後で、柱に通路を取り付ける接続部の設計が変更(図2)最終設計案は監査をしないで施工された。設計変更により 4F 通路の接続部の荷重負担が2 倍となり、最終設計案は建築基準を満たすものではなかった。また、建築中にも監査されなかった。逆に、建築作業及び素材の問題は認められなかった。

 

対策

初期設定案が監査を通るとその後変更があってもそのまま建設が続行できる現状況を考え直すことが必要。監査側の構造設計に携わる関連会社への監視、建築中にも定期的に設計変更がないか等の管理強化が必要である。

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

 

30年以上前の事故とは言え、ホテルの名前を入れただけで検索できる事故である。変更前と変故後の図面を見てもよく分らないが、構造計算の監査終了後に設計変更してその後なんのチェックもしないというのは拙いし、アメリカらしくないとも言える。アメリカのもの作りに共通する考え方として、当事者以外の第三者による図面チェックや完成品のチェックがあるからだ。とは言え、どこの国でもインチキはあるから、上記ホテルの場合は何か別の力が働き不正があったのではないかと思う。

1995年6月29日、開店後わずか6年で崩壊した韓国の三豊百貨店も4階建てのオフィスビルから建設途中で5階建ての百貨店に設計変更している。これほど、大きく変えたらそれは設計変更とは言わないと思うが、とにかく変更された。自家用車の設計図を変更して路面バスを作るようなものだと思う。韓国の場合は、施工会社は危険だからという理由で施工を拒否している。宇成建設という韓国のゼネコンだが立派だと思う、しかし、三豊建設産業という百貨店とグループになっている会社が施工を引き継いでしまった。宇成建設が、施工拒否と同時に内部告発していれば百貨店崩落事故も防止できたかもしれない。