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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

東名日本坂トンネルの事故

車両・鉄道事故

1979年(昭和54年)7月11日18時40分頃、静岡県を通る東名高速道路下り線、日本坂トンネル内の、出口から約400mの地点で大型貨物自動車4台、小型乗用自動車2台が関係する追突事故に伴う車両火災が発生し、後続車両に延焼した。この追突事故、車両火災により死者7名、負傷者2名消失車両173台の被害、トンネル本体の損壊および防災設備のほとんどが焼損という被害が生じたほか、流通の大動脈が一時的に機能麻痺し、交通網にも大きな混乱が生じた。

 

経過

乗用車の中には運転手ら3人、トラックの中に運転手一人が閉じこめられ、後続車の運転手らが救出しようとしたが、火と煙が激しく、近寄れなかったため、約3km離れた日本坂パーキングエリアに徒歩で行き、その場で事故発生を通報した。

 

原因

前から2台目の大型トラックB(図1参照)が、先頭の大型トラックAに追突したあと、まず後続の乗用車C,D2台が次々に追突し、さらに6台目の大型トラックFは、100km近いスピードで5台目の大型トラックEに追突した。このため、乗用車は大型トラックの間にサンドイッチされる格好で押しつぶされ、ガソリンタンクに裂け目が生じて電気配線のショートにより引火、爆発、火災となった。追突の発端は先頭の大型トラックAが前方の渋滞に気づくのが遅れ、急ブレーキをかけたことで、Aトラックは前方のライトバン、大型トラックに接触しながら停止した。

この渋滞の理由は、トンネルの焼津口の出口の近くで、大型トラック二台が接触した小さな事故である。この2台はまもなく走りさったが、この事故で出口付近が渋滞したという。そしてこの渋滞の数100m後尾で、A大型トラックが急ブレーキをかけた。そこへ後続のB大型トラックが追突、という状況になった。また、これより前にも、このトンネルの手前静岡側で交通事故が起きていたという。

事故発生後、トンネル入り口付近の警報により進入禁止を呼び掛けたが、その表示以後にも80台程度が進入しており、高速道路での緊急措置が文字通り分秒を争うきわどいものであるということを物語っている。

 

対処

本件事故はA級の防災設備を備えたトンネル内で発生した事故である。当日事故の起きた場所の所管の各機関等が動いた様子は下記の通り。

 

 18時39分 車両火災事故覚知

 18時39分 日本坂トンネル内非常電話により川崎の公団管制室へ、車両火災が起きたとの通報があり、直ちに静岡消防へと通報。同時刻、公団静岡管理事務所のコントロール室で警報ベルが鳴り、監視版の火災表示などが点灯したので、ITVにて火災を確認。次の順序で各設備の操作を行った。

 

 ・トンネル情報板(警報表示板)に「進入禁止火災」を表示

 ・水噴霧装置を作動させ、照明を全灯し換気ファンを逆転

 19時05分頃 コントロール室のITV不能、監視版に下り照明故障などの異常が表示される。この時刻以降、避難のための換気排煙が正常に作動しているのみで、他の照明、消火設備のほとんどがケーブル断線、ヒューズ切れなどにより異常状態となった。

 19時45分頃 東換気塔において手動にてポンプを再起動する。

 19時50分頃 出動を指示されたパトカーが東口に到着。避難誘導開始

 20時05分 主水槽の水170tを全て使用

 21時30分 トンネル内滞留車両の利用者208名を静岡管理事務所にて収容完了。

 

知識化

この車両火災事故は、事故車が規定の車間距離を守っていれば、また後続の車両が「進入禁止・火災」のトンネル情報板の指示を守っていれば、事故は起こらなかったであろうし、被害がはるかに少なくて済んだであろう。また、引火爆発を起こす危険物を積んだ車の割合が極めて高い東名の物流の現実から考えると、トンネル内の消火設備を増強することで火災事故のすべてを防ぐことには限界がある。実際、この事故はA級の防災設備を備えたトンネル内で起きている。

 防火設備(危険性軽減のハード面)に併せ、人的な注意の喚起など(危険性軽減のソフト面)にも着目することが重要であろう。

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

 

日本の交通事故災害の歴史に残る大事故である。7名の死者、173台の車両破損の規模も凄まじい。加えて、全車線が復旧したのは、事故から約2ヶ月後の9月9日であった。事故の内容に関しては、「日本坂トンネル事故」サイトにも詳しく掲載されている。

 

当時としては最新鋭の防火設備が整っていた訳だが、想定した以上の事故には対処できないという典型的な例だと思う。主水槽に溜められていた170トンの水は1時間程度でカラになり、火の勢いが強すぎて消火作業は一時中断するほどの火災だった。大量の可燃物が全体的に発火した場合、消火は困難なことが多い。燃える物が無くなるまで燃やしてしまうほかない。

 

以下は、ウィキペディア、トンネルに関する最長・最短記録抜粋

  • 世界最長のトンネルは、ニューヨーク市へ続く水道トンネル、キャッツキルアケダクトで、全長 147.2 km。
  • 人間が往来するトンネルとして世界最長のものは、鉄道トンネルである津軽海峡線青函トンネルで、全長 53.85 km、海底部長 23.3 km。
  • 海底部が世界最長の鉄道トンネルは、英仏海峡トンネルで、全長 50.49 km、海底部長 37.9 km。
  • 世界最長の鉄道の山岳トンネルは、スイスのレッチュベルクベーストンネルで、全長約 34.6 km。
  • 世界最長の狭軌鉄道の山岳トンネルは、スイスのフェライナトンネルで、全長 19.0 km。
  • 日本最長の狭軌鉄道の山岳トンネルは北陸トンネルで、全長 13.87 km。
  • 日本最長の連続した地下鉄トンネルは、都営地下鉄大江戸線で、光が丘 - 都庁前 - 大門 - 両国 - 都庁前の全線が該当し、 40.7 km。
  • 日本の私鉄で最長の鉄道トンネルは、北越急行の赤倉トンネルで、全長10,472 m。
  • 世界最長の道路トンネルは、ノルウェーのラルダールトンネルで、全長 24,510 m。
  • 日本最長の道路トンネルは、関越自動車道にある関越トンネルで、全長は上り線が 11,055 m、下り線は 10,926 m。
  • 日本最短の鉄道トンネルは、吾妻線の樽沢トンネルで、全長わずか 7.2 m である。八ッ場(やんば)ダム建設に伴う線路付け替えにより、用途廃止予定。

 

蛇足

日本坂トンネルのことを調べていて分ったが、ここは有名な「心霊スポット」らしい。私は、未だかつて「心霊現象」と断定できる事象に遭遇したことがない。本当に見ることができるのなら是非見ておきたいと思う。しかし、埼玉からの移動時間と手間を考えると、絶対間違いなく見えるのでなければ行くことはできない。

実は、トンネル内では、音・光ともに外界と異なる共鳴・反射が発生する。そのため、人の脳は様々な錯覚を起こすのだが、トンネルで多くの「心霊現象」が目撃・体験される原因はそこにあると思う。