エネルギー単位の整理をしよう・1
エネルギーの単位は色々あって分かり難い。石油や石炭、天然ガスの輸入量・消費量でもキロリットル、キロトン、バレルがあり、さらに、「このエネルギーは原油に換算すると〇万トンです」などと言うものもある。
H23年(落ちた)・H24年(受かった)と技術士試験の勉強をしていた時は、なぜこんなに色々な表現があるのか不思議だった。わざと分りにくくしているのかと、考えたほどである。しかし、実際には、「闇の勢力による陰謀」ではなく正確に表現しようとする学者の良心が返って複雑で分りにくい単位・表現を生んでいる。それぞれの単位と表現には合理的な裏付けがあるのだ。
そこで、今日と明日の2回に分けてエネルギーの単位を整理してみたい(27日は雪印の集団食中毒事故がある)。
先ずは、石油・天然ガスに関して。
1-石油)
石油の物量表示は、慣習的にアメリカがバーレル ( b ) とガロン ( gal )。
ヨーロッパはトン ( t )。
そして、日本はキロリットル( kl )となっている。
トンで表示した場合、比重が問題となり正確な値は分らなくなるが、今回は概算値で説明する。
(小文字のエル「l」が分りにくいので「リットル」と読みを付ける)
1) 石油1 kl(キロリットル) = 6.29b
石油1b = 159 l (リットル)
上式より
1 b / 日 = 50 t / 年 = 58 kl (キロリットル)/ 年
100万 b / 日 = 5,000万 t / 年 = 5,800万 kl (キロリットル)/ 年
また、ガロンは小さい単位なのであまり使用されないが
2) 1 l (リットル)= 0.2642米gal
1米 gal = 3.785 l (リットル)
そして、1t の石油は = 1 0^7(10の7乗)kcal
2-天然ガス)
わが国へ輸入されるLNGは、液体重量単位がとられている。
天然ガスの場合、ガス体エネルギーとして容量単位がとられる。しかし、天然ガスの持つ熱量は生産地による性状の違いによって異なる。
その値は、およそ1立方m当たり9.000~9.500kcal 。
また、液化天然ガスであるLNG 1 トンは、天然ガス体積に換算すると1.400立方m。
(LNGの圧縮比は 1/595、液比重は0.4250。1トン÷ 0.425 = 2 .353立方m。
2.353立方m × 595 = 1.400立方m)
(LNG 1tの 容量は、液比重が0.425なので原油 1tの倍以上になり、 LNGタンカー5万トンは原油タンカー10万トンに匹敵する)
そして、LNGの熱量は13.300kcal / kg。
(天然ガス1立方mは9.500kcal、LNG1 kgは1.4立方mだ、から、9.500kcal x 1.4立方m = 13.300kcal / kg)
言い換えると、LNG 1 トンのエネルギーは石油1.4 kl(キロリットル)に等しい。
概略でまとめると
発電規模100万kWの火力発電所の年間必要燃料量は、LNGで約100万t、重油で約150万ke、石炭(輸入炭6.500kcaVkg)で約200万tである(ウラン235なら1トン強)。
参考文献
「図解・次世代エネルギーの基本からカラクリまでわかる本」漆原次郎-洋泉社(2010年1月19日)
「データから読み解くエネルギー問題」松井賢一-エネルギーフォーラム社(2009年4月20日)
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