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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

中国は次世代原子炉の開発に着手

科学技術

6月21日は、特に事故・災害が発生していない。そのため、日経新聞の記事から次世代原子炉の話しを紹介する。以下は、6月19日の記事。

 

中国、次世代原子炉の開発急ぐ 「トリウム」に脚光 

編集委員 安藤淳

 

 エネルギー需要が増大する中国で、次世代原子炉を開発する動きが加速している。ウランの代わりに、大量に余剰があり廃棄されてきたトリウムを燃料に使う「トリウム溶融塩炉」の研究が進む。炉心溶融(メルトダウン)の危険がなく放射性廃棄物が少ないという。日本も米国と協力して過去に同様の炉を研究しており、将来の選択肢に加えるべきとの指摘もある。

 

以下 略

 「原子炉」と言う単語を見るだけでアレルギー反応を起こす人もいるけれど、世界的な流れは変化していないと思う。事故が発生したのなら、原因を究明して事故が発生しないように改良・改造するのが技術であると思う。

「トリウム溶融塩炉」と言う聞き慣れない言葉が出て来たが、歴史的には通常の原子炉とあまり変らない。1960年代に日米共同で研究されていた。

トリウム溶融塩炉に関しては2012年5月3日の「WIRED」に詳しく載っているので紹介する。

 

トリウム熔融塩炉は未来の原発か?

 

かつてアメリカのオークリッジ国立研究所で開発されたものの、歴史の闇のなかへと消え去ったまぼろしの原発「熔融塩炉」。2011年に中国が本格的開発に乗り出すことを発表した失われたテクノロジーは、本当にクリーンでグリーンで安全なのか? かつて福島第一原発3・5号機の設計を担当し、現在は世界を舞台に「トリウム熔融塩炉」の可能性を推進する原子力工学の専門家・吉岡律夫先生に訊いた。

 

──オークリッジ国立研究所で1960年代に実際に稼働していた「熔融塩炉(MSR:Molten Salt Reactor)」が、ここ10年ほど大きな注目を集めるようになってきました。また、トリウム燃料の可能性も近年盛んに語られていますが、いわゆる「トリウム熔融塩炉」がいまこうして注目される理由は何なのでしょう?

 

世界における原子力発電の問題は何よりもまず、燃料として用いたプルトニウムの処理処分です。アメリカを中心に日本も、高速増殖炉によってその燃料を再利用できるようにすることをもくろんできたわけですが、これが開発開始から50年近く経ってもめどが見えない。そこでトリウム熔融塩炉が注目されるわけです。というのもトリウムは放射性物質なのですが、自ら核分裂は起こしません。そこでトリウム(Th232)からウラン233を生み出す必要があるのですが、その火種としてプルトニウムを使用することで、プルトニウムを消滅させることができるのです。

 

──トリウム熔融塩炉を使用すれば、プルトニウムを燃やしながら新たなエネルギーを生み出すことができる、ということですか?

 

そうです。現状における原発の計画は、軽水炉から出るプルトニウム高速増殖炉で再処理して再び使うという「ウランープルトニウム・サイクル」を前提としたものですが、それがうまくできないことによって、プルトニウムの処理処分の問題が大きくなり続けています。加えて、核拡散の問題もあります。ところが「トリウムーウラン・サイクル」ですと、処理の問題も、核拡散の問題も解決できるのです。

 

以下 略

 

さらに、これより前、2011年4月7日に「日経ビジネス」でも取上げられているのでそれも紹介しよう。

 

さよならウラン、こんにちはトリウム

米中印が続々参入…福島原発事故で浮上した未来の原発

谷口 正次

 

去る1月25日、中国科学院(the Chinese Academy of Science)が“戦略的・先端科学技術特別プロジェクト”として、トリウム溶融塩原子炉の研究開発を行うと公式に発表した。その内容については3月3日の当コラムで紹介した。

 そして、3月11日の大震災による福島第一原子力発電所の事故だ。

 3・11震災発生までは、中国科学院の発表に対して世界のメディアのメインストリームはほとんど反応しなかった。しかし、3・11以後は変わった。

 

 ~ 中略 ~

 この記事の中では、元NASAのエンジニアで、トリウムの専門家であるカ-ク・ソレンセンのコメントも紹介している。

 

 「この原子炉は驚くほど安全な構造になっている。もし、過熱し始めると、小さな栓が溶けて溶融塩は鍋の中に排出される。津波で損傷して使えなくなるコンピュ-タ-も、あるいは電動ポンプも不要である。原子炉自体で安全が守られる」

 

 「日本で見られたような水素爆発のようなことも起こらない。それは大気圧で運転されるからである。放射能漏れもなく、スリーマイル島、チェルノブィルあるいは福島のように制御不能状態が長く続くようなことはありえない」

 

以下 略

 また、書籍としては、「原子力安全革命」古川和男著-文春文庫があるので、その本が参考になると思う。

2011年3月11日以降、すぐにメディアで取上げられ、2001年に発刊されていた「原子力安全革命」を増補版で2011年5月20日に発刊した割に、その後は盛り上がらなかった。しかし、中国とインドでは研究を継続し2020年には実用化する予定らしい。

記事を読むと良いこと尽くめだが、メリットだけの技術というものは無い。明日と明後日も目立つ事故・災害はないので次回、「トリウム溶融塩炉」の問題点を書いておきたい(多分、時間の関係で明後日になると思う)。