再生可能エネルギーを考える・1
3・11以降、再生可能エネルギーという言葉を聞かない日はなくなった。技術士の試験問題にも部門を問わず出題されている。個人的には、原子力を安全に運転すればよいと思っているが、世の中がそれを許さないらしい。
6月7日~9日の3日間は特に書くべき事故・災害は発生していない、そのため、3回に分けて再生可能エネルギーについて述べる。
1回目の本日は、小規模水力発電。
2回目の明日は、地熱発電。
3回目の9日は、その他の候補達。
勿論、ブログだからそれほど長くは書かない、あくまでもさわりだけ。
1. 小規模水力発電
小規模水力と言っても規模は様々であり、便宜的にその出力によって分けられている。
マイクロ水力発電導入ガイドブック(2003年、新エネルギー・産業技術総合開発機構)
によれば、水力発電の分類は以下であり、一般に下の2つ、出力1000Kw以下を小規模水力発電という(厳密な定義はない)。
1.1 分類
大水力 large hydropower 100,000 Kw以上
中水力 medium hydropower 10,000 ~ 100,000Kw
小水力 small hydropower 1,000 ~ 10,000Kw
◎ミニ水力 mini hydropower 100 ~ 1,000Kw
◎マイクロ水力 micro hydropower 100以下Kw
1.2 発電力
小水力発電データベースを見ると、現在使用されている発電装置の出力は、概ね200~700Kw程度になっているようだ。一般家庭の消費電力は、冷蔵庫、エアコンを使用している時で1Kw/hぐらいだから、200~700軒分の家庭電力を賄うことができる。
それなら、全国にたくさん作って発電すれば電力の心配はないような気もする。例えば、農業用水路、工場排水、浄水場などである。さらに、高層ビルなら屋上にタンクを設置し水を溜めていざという時の補助電源に使用することも可能だ。
また、この時の出力は以下の式で概算できる。
P(Kw) = 8.5 × v (m/s) × A (m2) × H (m)
vは水の流れる早さ
Aは、流れる断面積、断面積と速さが決まれば単位時間あたりの流量が決まる。
Hは水が落ちる落差
8.5は発電機の効率を考えた係数
この式を簡単に解説すると、半径1mつまり、直径2mの管を取付け、2m落差で発電機を運転させたとする。川の流速は、日本の場合平均で秒速2m程度だから、以下の出力が得られる。
8.5 × 2 (m/s)× 3.14 (m2) × 2(H) = 106.74Kw(およそ、100軒分)
しかも、太陽光や風と違って川が渇水しない限り365日、24時間電力を得られるのだ。
さらに、この場合、直径2mの管を落差2mで設置するだけだから、ダムのように生態系に影響を与えることも無い(若干はある)。
1.3 デメリット
いいことずくめのような再生可能エネルギーだが、欠点もある。川は、落ち葉を含め色々なものが流れてくる。それらの除去、メンテナンスを考えると得られるエネルギーは元々少ないため、採算性は悪い。
実際、全国に設置されている小規模水力発電機は、台風や大雨の時は一時的に川から引き上げたりして使用している(そうしないと壊れる)。
残念ながら、再生可能エネルギーは小型水力発電でOKという訳ではない。しかし、候補としては、悪くない。個人的には、一番の有力候補と考えている。地味だから、メガソーラーのように人目につかないが、全国の設置できる可能性があるところへ増やして行くことができれば良いと思う。