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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

保守点検を怠ったため、思わぬ停電から火災が発生

工場・施設の事故

1999年(平成11年)05月31日、神奈川県川崎市にある製油所のガス化脱硫装置の分解ナフサ留出線を切り替えた時に火災が発生した。

 

事象

川崎区水江町地域一帯が停電となり、東京電力からの買電が停止した。この影響により製油所の電力選択遮断システムが作動するとともに、緊急停止システムが作動した。緊急停止のプログラムにより、ガス化脱硫装置の分解ナフサの留出先は、分解ナフサ分溜洗浄装置から半製品タンクに自動的に切り替わった。その後、パトロール員が当該装置を点検中に、地上約7メートルの高さに位置する配管ラック上のナフサ配管から分解ナフサが噴出しているのを発見し、携帯無線機で応援を呼んでいた。その時、漏洩箇所から約3メートル離れた他配管付近から炎が上がった。

プロセスー製造

単位工程ー溜出・取出し

図3.単位工程フロー

図4.単位工程フロー

 

原因

買電が停止したことから、事業所の電力遮断システムが作動するとともに、緊急停止システムが作動した。その結果、ガス化脱硫装置の分解ナフサの留出先は、分解ナフサ分溜洗浄装置から半製品タンクに自動的に切り替わった。この際、送液する配管の気相部には、すでに錆瘤等が生成しており、局部腐食が進行し開孔していた。そのため分解ナフサが漏洩、直近の高温配管フランジ部に接触し引火、もしくは、配管保温材に浸透し発火点に至り、着火発災したものと推定される。

 

対策

1.2000年度の定期修理工事まで、当該配管の使用を禁止し、2000年には配管の全面更新をする。

2.類似配管の総点検を実施する。

3.配管の保安管理基準を設定する。

4.検査インターバルを明確化する。

5.検査管理の徹底を行う。

 

知識化

平常使わない配管は維持管理がおろそかになりやすい。しかし、使う機会がゼロでないならば、平常使用配管と同様の維持管理が必要だ。

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・追記して転載した。

 

非常用設備の保守点検は、どこの企業にとっても難しい問題である。まして、ほとんど使用する可能性がないような設備の場合、維持管理はただの金食い虫になる。

しかし、上記のような停電も希に発生する(2011・3・11以降は希ではない)。やはり、保守点検は重要なのだ。特に、流体や粉体を運ぶ配管は一定の速度で必ず摩耗する。もちろん、運ぶ「物」により摩耗速度は異なる。水や石油なら非常にゆっくりしか摩耗しない。酸やアルカリの溶液なら早く摩耗する。以前、米を運ぶ配管を見せて貰ったことがあるが、10年は持たないと教えられて驚いたことを覚えている、

新しい設備を新設して、古い設備をバックアップ用にそのまま残しておくような場合、上記のような事故に繋がり安い。この製油所では、設備を更新する計画を立て、まさに計画を実行しようとしていた矢先の事故だった。