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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

チェルノブイリ原発の爆発

工場・施設の事故

1986年(昭和61年)4月26日、当時のソビエト連邦ウクライナソビエト社会主義共和国 プリピャチ(現・ウクライナ・プリピャチ)内にある、チェルノブイリ原子力発電所の4号炉で、タービン発電機の慣性回転でどれだけの電力が得られるかを実験していた。原子炉の暴走が起き易いという設計上の欠陥と操作ミスが重なったため、実験中に原子炉の出力が急上昇して暴走し、爆発して原子炉建屋を吹き飛ばした。死者は1987年7月末で31人、半径30kmの住民13万5,000人が避難した。世界中に放射能をまき散らし、牛乳、肉、野菜などを汚染した。原子炉閉鎖作業を行なった作業者や避難した住民の中には、放射能障害や死亡が多数発生しているが、その実態はまだ明らかになっていない。

 

経過

チェルノブイリ原子炉は、「黒鉛減速・軽水冷却のチャンネル型原子炉」と呼ばれている。図1のように、黒鉛ブロック(減速材)の中に1,693本の圧力管(内径80mm、外径88mmのジルコニウム金管)が通っており、この1つ1つをチャンネルと呼んでいる。この圧力管の中に燃料集合体(実効長さ7m)が吊り下げられている。圧力管の下部から270℃、70気圧の水が1.2m/sの流速で供給され、燃料集合体の間を通過する際に加熱されて気水混合体となり、これが気水分離器に供給される。気水分離器から出た蒸気がタービンを回し、発電するしくみとなっている。定常運転時には黒鉛の温度は約600℃になる。

実験の目的は、外部電源が切れてポンプが回らずタービンへの蒸気供給が停止した際に、タービン発電機の慣性エネルギのみでどれだけ電力を供給できるかを調べることであった。なお、この電力は緊急炉心冷却装置(ECCS)の給水ポンプに供給されることになっていた。

 

原因

(1) 自己制御性を欠いた原子炉

この原子炉は、もともと低出力運転時には、燃料と接触した冷却水から泡が発生して核反応を高め、高められたことでさらに泡を発生した反応を促進、というように出力係数が正となり、反応度事故(原子炉の暴走)が生じやすい基本設計上の問題があった。しかし、この原因で生じる事故発生を、低出力状態での運転を禁止するという運転規則を作って防止していた。

(2) 正の反応度挿入をもたらす緊急装置の存在

さらに緊急停止用制御棒を挿入すると水が排除されて、逆に反応が高まるという構造的欠陥を持っていた。

(3) プラントの欠陥を知らされていなかった運転員による運転

原子力の設計・開発・製造を行なった中規模機械製作省から、運転を管轄している原子力電化省に、原子炉の特性について十分な知識が提供されておらず、原子炉の低出力時の危険性について電力電化省の担当者は理解していなかった。

(4) 頼りにならない格納機能

圧力管の厚さ4mmの薄肉パイプで、異常時の圧力上昇に耐えるような強度はなかった。圧力管が破れると、冷却水が高温の黒鉛と接触して蒸気爆発を起こすという危険な構造であった。さらに炉心全体を包む鋼製の圧力容器や格納容器がなく、圧力に耐える機能がなかった。炉心の中を上下に多数の圧力管が貫通しており、とくに上部は運転中に燃料の出し入れするために格納構造を作りにくくなっていた。燃料の出し入れのために建屋の背丈が高くなり、建屋の構造もトラス構造の上にコンクリート板を固定しただけのきゃしゃな構造であった。

 

よもやま話

設計の欠陥と操作ミスが重なって、重大事故に陥った。事故の後、権力者が自己をかばい、政治家が政権の安定に腐心したために、情報を十分に公開せず、運転者の規則違反・操作ミスのみに原因を押し付けたために、設計上の問題を含む本質的な原因が明らかになるのが遅れてしまった。結果的に設計上の問題を残したまま、チェルノブイリ型原子炉の操業が続いている。

 

///// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

 

この事故の時は、「日本の原子炉とは構造が全く異なり、しかも信じられないような操作ミスの連続が事故を引き起こした、日本の原子炉ではあり得ない事故だ」と繰返し報道されていた。特に、最近見なくなったが、竹村健一氏の発言が多かったと思う(「竹村健一の世相を斬る」)。しかし、今となっては何のことはない、25年後、信じられないような津波の力で補助電源を破壊され、あり得ないはずの事故が起きてしまった。あれ以来、何が起きても「想定外でした」と「申し訳ございません」の二つの言葉が飛び交っている。

チェルノブイリに話を戻す。現在も40万人を越える人が移住生活を強いられているらしい。若しかしたら、その方が体に悪いかも知れない。と言うのは、チェルノブイリ・ツアーと呼ばれる旅行企画があり立ち入り禁止区域にも入ることができるようになっている。旅行客は一回限りかもしれないが、ガイドは年に20回以上この地を訪れるということなので、本当の放射線量はどの程度になっているのか知りたい。また、私は、低線量被曝というものに対して、その害には疑いを持っている。化学物質の管理でもそうだが、どんな危険物質も量と関係がある。閾値以下であれば危険は無い、放射線だけが例外であるとは考えられない。