takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

あれから8年・JR福知山線脱線事故

8年も経つかと言うのが実感である。私は、この事故を昼食時のテレビニュースで知った。職場の事務所にテレビはない。

 

2005年(平成17年)04月25日、JR西日本宝塚駅同志社前駅行きの上り快速列車(7両編成)が、福知山線塚口駅から尼崎駅間の半径304mの右曲線を走行中、先頭車両が左へ転倒するよう脱線し、続いて2~5両目が脱線した。先頭車両は、線路東側のマンションに激突し、死者107名、負傷者562名の大惨事となった。直接の原因は、運転士が車掌と総合指令所との会話に気が取られ(推定)、ブレーキのタイミングが遅れ、曲線部の制限速度70km/hを46km/hも超える約116km/hで突入したため曲がりきれず脱線したものと考えられる。 

事故経過

JR西日本宝塚駅同志社前駅行きの上り快速列車5418M(7両編成)は、伊丹駅に到着時、70mのオーバーラン(正規の停車位置を越える運転ミス)を起こした。列車は停止位置を修正し、乗客の乗り降りを終えて、9時16分10秒ごろ約1分30秒の遅れで出発した。

伊丹駅を出発した後、車掌が次の停車駅を告げる社内放送を行った。そのとき、運転士から「まけてくれへんか」(伊丹駅でのオーバーランの距離を小さく報告して欲しいとの意味)との車内電話があり、車掌はこの依頼を了承した。車内電話で話している最中に、1人の乗客が車掌室の窓をたたき「遅れているのに、あやまらんか」と述べた。車掌はお詫びの車内放送を行った。

運転士は列車無線を使って、列車の総合指令所に報告を行った。

運転士は列車を加速した。制限速度の120km/hを超えたため、列車の加速を止めるため軽くブレーキをかけた。

9時18分01秒、車掌は列車無線で総合指令所と連絡を取った。

9時18分06秒、指令所から「こちら指令所、どうぞ」との応答。

9時18分12秒、指令所「5418M車掌、内容どうぞ」。

9時18分14~26秒、「えー、行き過ぎですけれども、伊丹駅到着時に後部限界表示およそ8m行き過ぎて1分半の遅れで出発した」と報告した。

9時18分38秒、指令所「何分でしょうか。どうぞ」

9時18分40秒、車掌「あ、1分半です。どうぞ」

9時18分42秒、指令所「1分30秒遅れ。えー」

この時点では、列車は上り第4閉そく信号機付近を通過しており、速度90km/hでのブレーキ初速であったが約120km/hを保ったままであった。

9時18分47~53秒、指令所「えー、それでは替わりまして、再度、5418M運転士応答できますか。どうぞ」

9時18分51秒、初めてブレーキをかけ始めるが、54秒には、先頭車両が左へ転倒するよう脱線し、線路東側のマンションに激突した、続いて2~5両目が脱線した。

 

//// ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆して転載した。

 

この事故に関しては、国土交通省の運輸安全委員会が詳細な報告書(260頁もある)を発表している。埼玉に住む部外者の私としては、この報告書を正しいものとして事故について考える。なお、この報告書には、怪我を負った乗客の生々しいインタビューが多数掲載されている。

マスコミでは、「過密ダイヤによる無理な運行」等とも報道されていたが、東京と比較して過密であるとは言えない。もっとも、時間当り何本を超えたら過密と言う定義はないから、朝の福知山線は過密ダイヤだと言えば「そうでうか」と言わざるを得ない。

一方、運転士にぺナルティであると受け取られている、日勤教育も随分と取上げられて報道されていた。確かに、精神論に偏った教育がされていたようだ、これは再教育にふさわしい事故防止に効果的なものとするべきである。 例えば、もっとシミュレータを使ってトレーニングを行うような、実践的で運転技術に関する教育を充実させる等も考えられる。朝の通勤時間帯は、駆け込み乗車が多く、電車の運転士はつねに時間遅れのストレスに晒されている。そのような状態には手を付けず、ただ、時間遅れは運転士の責任だと怒っても事態は改善されない。事故を起こさないために乗客が協力できることは、無理な駆け込み乗車はしないということである。

それと、ATSのことが何度も報道されていたが、ATSにも種類がある。ATS設置云々よりも、半径〇〇Rは、速度△△Km/h以下などが正しく決められ、その速度を超えたら制止信号が入るようにしなければならない。遠心力で脱線する場合、結局のところ線路の半径と電車の走行速度の関係で脱線するしないが決まるのである。