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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

トルコ航空DC-10・パリ郊外の森の上空で空中分解

1974年(昭和49年)03月03日、フランスのパリ郊外の上空でトルコ航空機DC-10が空中分解し墜落した。

トルコ航空のDC-10がパリで給油等のために立ち寄った後ロンドンに向けて離陸後、10分程度で後部貨物室のドアが外れて吹き飛びその近傍の座席の6人が機外に吸い出された。それに続く貨物室の急減圧と客室の圧力差のために客室床が抜け舵面制御用のすべての油圧配管等を切断したため制御不能に陥り、ドア分離の71秒後に墜落し、すべての乗員乗客346名が死亡した。

ドアロックのラッチ機構が、内外圧力差によってドアが開いたことが原因であるが、その設計不良が第一次的要因である。ドアロック機構の設計ミスのため、内外の圧力差に比例した大きな圧縮力がラッチアクチュエータに作用し、アクチュエータを機体構造に結合している取付けボルトを剪断破壊させ、ドアが吹き飛んだものである。ドアを無理矢理閉めた場合には半ドア状態でもコックピットのドアの開放警告ランプが消えるためコックピットではロックがいずれの状態であったのか判断することはできなかった。

本事故に関してはこれより約2年前の1972年6月12日にほぼ同様の事故がデトロイトを発しバッファローに向かっていたアメリカン航空のDC-10でカナダのオンタリオ州ウィンザー上空で発生していた。その折は幸い一部の油圧系統が生き残ったため、帰還に成功した。

アメリカン航空の事故調査結果から、ドアロックシステムの設計不良が明らかになったためFAA(連邦航空局)はその対策として以下の勧告を整備情報(Service Bulletin : SB)として行った。

(1) ドアロック状態を確認するための点検窓の設置

(2) ロック無理閉め防止用補強板の追加

さらに、貨物室と客室の間に生じ得る圧力差によって床が抜けないようベントホール(通気孔)の大きさと数を増した上で孔部を補強しその強度確認を行うこと、ならびに制御用のケーブル、配管を一ヶ所に集中させないよう配置を再検討することがメーカーに対して勧告された。

しかしSBは拘束力の弱い勧告であり、また通気孔対策等については改修経費がかさむことなどの理由でメーカーから拒否され、トルコ航空機においても点検窓(小さすぎて役目を十分果たし得ない)の取付けを除いていずれも実施されてはいなかった。

以上のような背景から、ドアロック構造の設計不良が明らかとなったにもかかわらず、厳格な改善命令を指示し得なかった監督官庁ならびに不具合対策に積極的に取り組まなかった航空機メーカーの責任も問われた事例であると言える。

対策

(1) 安全弁の大きさを機体の体積に見合ったものとすること

(2) ドアラッチ機構にフェールセーフ性を持たせること

(3) フェールセーフ性のある制御システムであっても同一ルートとさせないこと

 

/////ここまでは、失敗知識データベースから省略・加筆を行い転載した。

 

60年代、70年代の飛行機事故を調べていると、「えっ」と思うような事故がたびたび発生している。空を飛ぶ物体は何かエラーがあれば墜落する。リスクをゼロにするには、飛ぶことを止めるしかない。上記の、「ケーブル・配管を一ヶ所に集中させないこと」というのは、現在ではほぼ当たり前に対策されている。

飛行機の事故は、機体メーカの設計者や航空会社の保守点検作業者の地道な努力により、確実に減少している。統計的には、自動車に乗るより遙かに安全である。これも、過去の事故を分析して対策しているのだから、現在の安全な空の旅は大勢の命を犠牲にした上で成り立っているのである。