takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

吹雪の中、新千歳空港で飛行機が衝突寸前に停止

2008年2月16日、新千歳空港は降雪のため低視程の気象状態であった。日本航空502便(ボーイング式747-400D型機)は、新千歳空港からの離陸に向けて誘導路で待機していた。一方、日本航空2503便(ダグラス式MD-90-30型機)は、関西国際空港より10時29分に新千歳空港に着陸した。その後、2503便が着陸して滑走路を走行中、502便は管制官からの指示により滑走路に入り待機していた。10時33分、日本航空502便は管制官からの離陸許可がないまま離陸滑走を開始した。管制官は日本航空502便に離陸滑走の停止を指示し、同機は停止した。最終的に両機は1800mまで接近していた。日本航空502便には、乗務員18名、乗客428名の計446名が、日本航空2503便には、乗務員5名、乗客121名の計126名が搭乗していたが、両便とも負傷者はなかった。

管制官からの指示により502便は2503便の手前1800mで停止、衝突という最悪の事態は免れた。

この重大インシデントの原因は、情報伝達のミスである。降雪による視界不良は、その引き金となったものと考えられる。日本航空502便は、機体の除雪作業のため出発が約40分遅れ、9時54分、滑走路に向け地上走行を開始した。操縦は指導教官である機長のもとで訓練生が担当していた。降雪のため視界が悪く視程は400mであった。他機の着陸後、管制官の指示により滑走路に入り、端で待機した。管制官より「JAPAN  AIR 502,  EXPECT  IMMEDIATE  TAKEOFF, TRAFFIC  LANDING  ROLL  AND  INBOUND  TRAFFIC  6 MILES(日本航空502便、ただちに離陸できるよう準備せよ、着陸した航空機はまだ滑走路にあり、後ろには到着機が6マイル(11.1km)まで接近してきている)」と参考情報が入った。「TAKEOFF」という言葉は通常、実際に離陸するときにのみ使われが、運航乗務員は離陸許可がでたものと思い込み、離陸滑走を開始した。なお、このとき運航乗務員は規定に反し管制官からの指示を全文復唱することなく「ROGER(了解)」と返答したのみであった。

「IMMEDIATE TAKE-OFF」を含む情報を管制官が通報したため、日本航空502便の機長が「迅速な離陸の指示」を受けたものと錯誤したことが直接の原因である。その他、次の各要因が間接的な原因と考えられる。

(1) 日本航空502便が降雪の中で離陸許可を待っている際に、低視程の気象状態で、滑走路上の他機を視認できなかった。

(2) 機体の除雪作業で出発が遅れ、できる限り定時運航に近づけたい日本航空502便の機長は、早く離陸したいという「『気』に囲まれている心理状態」にあった。

 

ここまでは、失敗知識データベースから、省略と加筆を行い転載した。////

 

この事故の直後(3月4日)に、小松空港で同様の事故が発生している。ミスをする時の人間心理の怖さである。その行為を行うことで、他人はおろか自分にも危害が及ぶような時でも、確認やチェックを怠り人はミスをする。後から考えれば、何故あんなことをしたのだろうと思うことを、その時は正しいと思って行ってしまうのである。

上記の場合も、機長は、操縦している訓練生が復唱をせず「ROGER(了解)」とだけ返答したことに指導すべきだと気付いていながら、「離陸が先」と考えて滑走路に出てしまったのである。