takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

製紙工場での粉塵爆発

1995年(平成7年)02月05日、北海道赤平市の製紙工場 で粉塵爆発事故が発生した。

洋紙製造には、次の工程がある。(1)パルプ化工程→(2)調成工程→ (3)抄造工程 →(4)塗工工程 →(5)仕上・加工工程 →(6)完成

この工程の中の3番目で抄紙と呼ばれる途中工程の紙ができる。この工程では最後に紙を乾燥させるため、紙の粉が大量に発生する。通常、紙粉はダクトで排出されるが、メンテナンス状態が悪いと、ダクト内に粉が集積し、排出効率が著しく低下する。そのため、室内に紙粉が浮遊し、ダクト内にも粉が舞った状態になる。加えて、このときは湿度も低かった。そのため、平常の作業中に小さなきっかけで着火し、紙粉が爆発した。それが室内の浮遊粒子の粉塵爆発を呼んだ。環境管理の悪さが原因と思われる。ただ、幸いなことに人的被害は無かった。

消防による事故調査では、着火源は特定されていない。しかし、紙粉が堆積していたため、長期に置かれた紙粉が乾燥炭化し発火した可能性もある。あるいは、静電気、カッターと抄紙機の接触火花等が着火源として推定されている。集塵装置内に紙粉が堆積していたことと、抄紙室内に爆発を起こすような粉塵雲があったことが原因であろう。さらに、室内湿度が局部的には15%以下で乾燥していた。 

 

ここまでは、安全知識データベースから省略引用し、一部、分かりにくいところを加筆した。////

 

粉塵爆発は、燃える物ならなんでも発生する可能性がある。空気(酸素)との接触面積が広がるため爆発的に燃焼する。大きな事故例としては、石炭採掘場での事故がある(1963年11月9日の三池炭鉱事故はその中でも最大級)。また、小麦粉や砂糖などの食品(炭素の塊)、アルミニウムやチタンなどの金属粉でも発生する。ただし、爆発するためには、空気と爆発物の濃度が関係し、それぞれ爆発下限濃度と上限濃度がある。さらに、湿度とも密接な関係がある。食品の場合は、湿らせるという訳にはいかないが、炭鉱では常に水を撒いた状態を保つことで爆発事故を防止できる。先述した、赤平市の製紙工場の場合は、静電気の防止、カッターの切れ味が低下していたこと等も事故原因と考えられている。