takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

整備不良による、アラスカ航空機の墜落事故

2000年1月31日午後4時半頃、メキシコのプエルトバリャルタ発サンフランシスコ経由シアトル行きアラスカ航空261便(マクダネルダグラスMD-83型・1992年製造)が、ロサンゼルス国際空港の北西約30Kmの太平洋上に墜落した。 この事故で乗員5名、乗客83名、計88名全員が死亡した。事故機は経由地サンフランシスコに向かう途中であった。墜落直前、スタビライザートリムの故障のため、ロサンゼルス国際空港に緊急着陸を要請していたが、高度17000フィートから急激に高度を下げ、午後4時36分にレーダーアウトした。事故機は1992年にマクダネルダグラス社が製造したものである。これまでにスタビライザートリムの故障等の大きな故障はなかったが、マクダネルダグラス社はMD80系旅客機すべての緊急点検を米航空会社に要請。 結果、スタビライザー部分に潤滑油不足や金属磨耗などが発見された。

事故機は、およそ3年前の1997年9月に今回の墜落の原因となった部分を精密検査していた。検査したジャックスクリュー・アセンブリの測定は、その部分がちょうどその摩耗限界の許容限界であった。しかし、交換すべきだという整備主任の指令は、更なるテストにより安全であることが決定された後で、他の整備士によって無視された。また、1998年にアラスカ航空のスーパバイザが航空機‐保守レコードを偽造したということが分かった。その偽造事実は、1月31日のアラスカ航空261便事故と直接関係があるわけではない。しかし、このような航空会社の整備不備や事実を隠蔽しようという行為に問題があるように思われた。

ここまでは、失敗知識データベースのデータを省略して転載した////

国内では、日本航空御巣鷹山墜落事故が整備不良を原因とする事故である。アラスカ航空261便の場合は、1992年に作られて8年も使用しているのに金属疲労が無いということはあり得ない。まして、点検整備で摩耗の許容限界が発見されてから、更に3年も経っている。これを発見した整備主任やその事実を無視した他の整備士は、この事故をどう考えただろうか、残念ながら記録やデータがないから分からない。金属疲労は、ある程度までゆっくりと進み、その後限界点を超えると急激に進む。そのため、ある程度余裕をみている許容限界に達したら交換しなければならない。これは、保守点検のプロではなくてもある程度機械や金属の勉強をした人間なら分かるはずだ。まして、整備士にそれが分からないはずはない。上級管理者が、保守点検の記録を偽造するような会社では、保守費用を削減するため、日常的に「安全であることを決定」するための追加試験を行っていたのかもしれない。現在のアラスカ航空が、そのような体質を改善していることを願うしかない。