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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

嵐の中フレア号が脆性破壊で2つに割れ沈没

航空機・船舶の事故

1998年(平成10年)1月16日、キプロス船籍のフレア号は、穀物を運搬するためオランダのロッテルダムを出発しモントリオールに向かっていた。しかし、ニューファウンドランド沖で嵐に遭遇し、脆性破壊による船体の欠陥から船体が2つに割れ、船体の後部は30分後に沈没した。また、船体の前部は4日間漂流した後沈没した。生存者4名は海中で救命ボート6時間掴まり救出された。

フレア号の乗組員の証言によれば、ニューファウンドランド沖で強い浪風に揺れる中、協定世界時午前4時ごろ、船は大きなドンという音を発した。それに続き船体が縦方向にくねった。その4時間後に再度大きな音を発し、大きな振動があった。乗務員がデッキに出ると船体が2つに割れていた。

船尾は右舷に30~35度傾いたため、右舷の救命ボートが使用できなかった。また、左舷の救命ボートは嵐の際にロープを増やしてしっかりと固定されていた。加えて、傾いたデッキ上には雪や氷が残り闇の中であったため、救命ボートを船体から放すのが困難であった。30分後に2つに割れた船体の後部が沈んだ。その際、偶然にも救命ボートが浮上したため、6名が泳いでボートにたどりついた。だが、その後救命ボートも転倒してしまった。6名はボートにしがみついていたが、3時間後に2名は力つきてしまった。その3時間後、残った4名は救助された。船体の前部は4日間海上を流された後、沈没した。 

船は1972年(昭和47年)に日本で建造されていた(船の寿命は25年程度)。この航海の出発時に溶接器具を船に積み込み、航海中に修理をする予定であったが完了していないまま、低温の嵐の中を数日間航海していた。また、船は、軽バラスト状態で前方が低喫水であった。つまり、これらの要素が船体へのストレスを増加した。そのため、メインデッキの鋼板に脆性破壊が生じ、縦の構造状態が保てず船体に障害が起こったのである。これも、問題があることが分かっていながら、経済的な理由などにより問題解決を先送りにして解決策を採らなかったため、取り返しのつかない結果に進展した事例の一つである。

大きな事故の前触れとして、ちょっとした故障や、小さなトラブルが頻繁に発生することがある。何度か書いているハインリッヒの法則だが、これは、1件の重大事故の陰には、29件の中小事故があり、さらに300件の小さなトラブルがある、と言う経験則である(数値は絶対値ではない)。法則名は、アメリカの損害保険会社で技術・調査部の副部長をしていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ(1886年 - 1962年)が1929年11月に出版した論文で使用している。労働災害の事故統計から、割り出したらしい。私は、社内での危険予知活動やトレーニングでこの経験則の話しをしている。ハインリッヒの法則は、科学の法則のような真理というものではない。しかし、あるていどの誤差を含みながら当てはまる事象は多いので安全管理や保守担当の方は、常に注意しておいた方が良い。