読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

FF式石油暖房機の故障による一酸化炭素中毒死

製品事故

2005年01月15日 、福島県南会津郡伊南村 にあるペンションにおいて、ペンションに宿泊していた親子が、松下電器製FF式石油暖房機から漏れた一酸化炭素(CO)により、小学6年生の男児(当時12歳)が死亡。父親(当時40歳)も重体となった。その後も、同年2月23日、長野県茅野市の個人宅で同型式の暖房機を使用していた夫婦がCO中毒により救急車で搬送された。また、同年4月13日、長野県長野市の美容室で松下電器製FF式石油温風暖房機を使用していたところ、女性店長(当時40代)と女性客(当時60代)は気分が悪くなり、女性客は夫の自動車で病院に行った。さらに、同年11月21日、長野県上田市の個人宅で、夫婦のうち、妻(当時52歳)が死亡、夫(当時56歳)が重体で入院した。いずれもCO中毒との診断がなされ、事故現場には松下電器製FF式石油温風暖房機が使用されていた形跡があった。

1985年~1992年に製造された松下電器産業株式会社のFF式石油暖房機によって、福島県のペンションで宿泊していた親子をはじめ、長野県茅野市の個人宅、長野市の美容室、上田市の個人宅でCO中毒による死者、患者が相次いで発生した。原因は、バーナーへの給気ホースが劣化による亀裂で、不完全燃焼しCOガスを排出したためである。 

1985年~1992年に松下電器で製造されたFF式石油温風暖房機は、約15万2千台が販売されていた。

2次エアホース(バーナーへの給気ホース)がオゾンや熱などによる劣化から亀裂が生じ孔に発展。孔の成長で2次空気の供給不足、不完全燃焼でCOが発生。2次エアホース内の送風圧力が低下し、COの逆流が発生。さらに給排気筒の閉塞など、CO濃度の増加や逆流を助長させた。また、2次エアホースの劣化原因は、使用されていたホースの材質がオゾン等に劣化しやすいNBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)だったことによるものである。さらに、2次エアホースは、燃焼筒下部に位置しているので燃焼により発生する熱の影響を受ける状態になっていた。

松下電器は、2005年4月21日、ゴム製の2次エアホースを銅製のホースに交換するリコール(製品の無償修理)を発表し自主回収等を開始した。しかし、無償修理が間に合わず、上記11月21日の長野県上田市の事故(1名死亡1名重傷)が発生した。そのため経済産業省松下電器に対し、消費生活用製品安全法第82条の規程に基づき、該当する製品について回収または点検および改修、危険性の周知等必要な措置をとるべき旨の緊急命令を発動した。

企業の製造物責任が問われ、大きく報道された事故だった。亡くなった方には気の毒だが、松下電器の対応は、当時としては素早くまた良くやった方だと思う。TVでの、回収広告をご覧になった方も多いだろう。多数の部品によって構成される工業製品の寿命は、作る側の思い通りにはならない。一気に壊れて使用できなくなるのが理想だがこの事故の場合は、使用者に致命的となる部分が最初に壊れた。1985年~1992年に製造された製品だから、事故に時点で13年以上は使用されている。FF式石油暖房機の価格から考えると製品の寿命だったと考えられなくもない。この事故は、機械学会のセミナーなどでも取上げられ、設計者は製品の寿命をどのように管理すべきかを考える題材になっている。