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takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

横浜の化学工場で爆発事故

工場・施設の事故

2010年1月7日午後5時45分頃、横浜市金沢区福浦一丁目の化学製品製造会社「日本カーリット」横浜工場で爆発が発生し、工場敷地内の製造棟や事務所など8棟約2200平方メートルの建物が全焼した。

消防車40台などが出動して消火にあたり、同日午後8時15分頃に鎮火した。神奈川県警によると、この爆発で、当時工場内にいた従業員15人のうち男性8人と、付近を通りかかった乗用車に乗っていた男性2人、さらに、付近の工場の従業員1人が軽傷を負っていたことが判明し、負傷者は合計11人となった。

爆発があったのは、顧客から受託して化学薬品などを合成する有機製造所。現場では、高圧反応釜に窒素化合物を入れて水素ガスの圧力をかけ、液晶パネルの原料素材となるアミン系の精製物をつくっていた。事故は原料素材の製造を午後5時ごろ終えた後に起きている。そのため、事故当時現場に人はいなかったが、工場の敷地内に15人がいたという。若し、現場に人がいたら爆発を防ぐことができたのか、あるいは、爆発にまきこまれて死亡事故になったのかは、わからない。

日本カーリットの横浜工場は日本で唯一の過塩素酸製造工場である。高圧水素還元(水添)をメインとした様々な有機合成を行い、爆薬、信号用火工品、工業薬品、電子材料、機能性材料、砥材、化学装置、ボトリング事業に関する製品の開発、製造、流通、廃棄迄を行っている。

創業者 浅野総一郎は、火薬類の国内自給を目指し、1916年にスウェーデンからカーリット爆薬の技術を導入した。カーリット爆薬 (Carlit) は、スウェーデンのO.B.Carlsonが発明した爆薬で、過塩素酸アンモニウムを酸化剤とし、ケイ素鉄と木粉を燃焼剤とする爆薬で重油を結合剤として添加する。化学的に安定で自然分解しないという特徴がある(ある意味、安全な火薬)。

1月7日の爆発の後、神奈川県警などは翌8日から現場の実況見分を開始した。それによると、有機製造棟にあった高圧釜の一つが敷地外の道路まで数十メートルにわたって吹き飛んでいたという。県警らは、この釜の付近で爆発が起こったものとみて、原因を調査している。また県警は、業務上過失致傷容疑で関係者の事情聴取を行っている。

 

///// ここまでは、ウィキペディアから省略・加筆して転載した。

 

本件とは直接関係ないが、この工場は、以前関東高圧化学の工場であった。日本カーリットが吸収合併したのは、2009年4月である。しかし、吸収合併される以前、2008年4月にも敷地内にあった実験棟で爆発事故が起きて2人が死傷しており、神奈川県警は2009年12月に当時の工場長ら3人を業務上過失致死傷容疑で書類送検している。

 

私は、「技術」とは、危険な物を人や社会に役立つように安全に制御するための体系化された知識だと考えている。飛んでいる時に故障すれば墜落する飛行機もそうだし、電源を喪失して冷却機能を失い建物の天井を吹き飛ばした原子力発電所も同じである。日本カーリットは事故後、同工場は閉鎖したようであるが、原因と対策を外部に公表しないのは頂けない。会社の沿革にも、この事故のことは何も書いていない。

一方、横浜消防本部は、爆発事故を教訓に、危険物製造所の設置に対する独自の審査基準を策定するため2010年12月14日まで市民の意見公募を行っている。「二度とこのような事故を起こさせない」との決意で、法律だけではカバーし切れない未然防止策8項目を設けるらしい。しかし、過塩素酸物とは何か分からない人に「防止策」が考えられる訳はない。何でも意見を公募すれば良いというものではない。「そんな危ない物は作らなければ良い」と、本質安全に迫る意見が多数だった場合はどうするのだ。