ワイシャツという下着
ワイシャツは、元々、男女共用の下着です(フランス語: chemise:シュミーズ 麻シャツの意)。
16世紀~17世紀頃に服の切れ目で下着を見せることが流行し、白色の麻のシャツになったのが、現在の原型と言って良いでしょう。
第二次世界大戦頃には、イタリアでアウターとしても着られるようになりました。また、それがイタリア戦線から帰還した兵士により、イギリスへも伝わったようです。現在のワイシャツは、ほとんどの国で中衣に分類されています。
ヨーロッパの男性は1930年代にブリーフ、トランクスができるまで下着はcombination(裾の長いワイシャツ)だけでした。
その当時は長い裾で股間を覆っていたらしいのですが、手元に資料がありません。ワイシャツの両脇が短く、前と後ろだけが長く垂れていて、一番下のボタンが余っているのはこの名残だと言います。(一番下のボタンは、後の裾のボタン穴に填めるための物でした)。
胸のポケットも本来はありません、下着ですから当然です。
しかし、アメリカでスーツのベストを着なくなって、胸のポケットがないのは不便だったのでしょう。70~80年くらい前から、胸にポケットが付くようになっています。また、襟とカフスは、スタッドボタンで付け外しすることもできました。そのほうが洗濯時に便利です。さらに、外見を変えることも出来ます。
素材は、コットンがお勧めです。それも100番手以上の細い糸で織られた物をお勧めします。
註:「番手」とは、単位重さあたりの長さとして計算する糸の太さ表記法です。
綿糸または綿紡績方式で製造された糸に対して使用されます。単位重さ1ポンド(453.6g)あたりの長さが840ヤード(768m)のものを「一番手」といい、糸の太さが細くなると番手数が大きくなります。
ここで、私がお勧めするワイシャツテーラーを紹介しましょう。
新橋と言うか銀座8丁目にある「テーラーフクオカ」です。
3枚纏めてオーダーすると少し安くなります。
私は何時も下の「ラウンド」と呼ばれる襟先の丸いデザインで注文します。
また、カフスもラウンドです。
胸ポケットはありません。
フロントスタイルは、表前立です。
さらに、バックスタイルはダーツ入りです。
背中の両脇に、細いタックのような折り目が入ります。
これは、デザイン的にセンターにボックスプリーツ
あるいは、タック入り
とは異なります。少しクラシックなデザインと覚えておけば良いでしょう。
加えて、襟はクレリックが好きです。
要するに、襟だけ白にする訳です。クレリックとは、牧師あるいは聖職者。
そして最後の拘りが、ボタンホール周りを色糸に変更です。
随分色々と拘っているようですが、なじみの店なら、「前回と同じスタイルでお願い致します」と言えば、後は生地を選ぶだけです。
1回に3着注文しますが、これまで3回頼んでいます。
色は、白にピンストライプが1着、薄いクリーム色も1着ありますが、他は全て異なる折り目の薄い青色です。面倒なので写真は載せません。
テーラーフクオカのコットン100%は、100番手の生地です。
他に、価格は少し安いですが、ポリエステル混紡の生地もあります。
着心地は断然コットン100%が上ですが、皺になり易いので、上着を脱ぐことはできません。
次回は、サイズその他についてご説明しましょう。