takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

科学技術

環境学、あるいは環境工学、お薦めの本はこれです。

『環境危機をあおってはいけない』ビョルン ロンボルグ著・山形浩生訳:文藝春秋社(2003年6月刊) デンマークの統計学者が書いた環境問題に関する提言です。一時期、温暖化懐疑論の方々にはカリスマ的な存在になりましたが、ロンボルグは温暖化は間違いだと…

『ガリレオの指』以外、大人向け(高校生以上)科学の本、お薦めはこれです。

科学関係の本は、ほとんどPDFになっています。数百冊のタイトルを眺めながら時々中身を確認していたら2時間近く掛かってしまいました。少し古い本もありますが、私のお勧めは以下の3冊です。 『DNAに魂はあるか―驚異の仮説』フランシス クリック著・中原 英…

子供向け生物学の本、ベストスリーはこれです

『ミイラになったブタ』スーザン E クインラン著・藤田千枝訳:さえら書房 (1998/05刊) アマゾンでも、誰もレビューを書いていない本ですが、中身は間違いなく一級品。トナカイの大量死事件、チョウの美しさの秘密、ミイラになったブタ等、生態学者が調べた…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第3章-エネルギー-収支勘定の通貨-2

やはり書きかけのものは、終わりまで書きます。 熱力学的をに絞った本なら同じアトキンスの『万物を駆動する四つの法則-科学の基本、熱力学を究める』-早川書房:斉藤隆央訳・2009年2月25日初版発行、の方がより詳しく分かりやすく書いてあります。『ガリレ…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第3章-エネルギー-収支勘定の通貨

深遠なアイデア-エネルギーは保存される。 105~135頁 31頁を300文字に圧縮するとアトキンスはこう言っています。 エネルギーの本質を把握するには、空間を進む物体の運動の性質と熱の性質を理解する必要があると説いています。 運動の性質に関して、2000年…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第2章-DNA-生物学の合理化-2

昨日は、第2章-DNAのメンデルに関するところだけご説明しました。今日はその後の部分です。 DNAこそが遺伝情報を担う物質だと分かってからは、その分子構造に関心があつまりました。その構造がある程度分かったのはアメリカの生化学者エルヴィン シャルガフ…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第2章-DNA-生物学の合理化

深遠なアイデア-遺伝形質はDNAに暗号化されている。 59~104頁 45頁を300文字に圧縮するとアトキンスはこう言っています。 およそ150年前に行われたグレゴール メンデルの実験によって遺伝子という概念が考え出され(メンデルの死後)、20世紀初頭には染色…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第1章-進化

深遠なアイデア-進化は自然選択によって生じる。 第一章・12~58頁 47頁を200文字に圧縮するとアトキンスはこう言っています。 「生命は、かけがえのないものなので、長いことそのために特殊な創造過程が必要だと考えられていた」と書き出したアトキンスは…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』・プロローグ編

昨日は、ブックマークを沢山頂きました、ありがとうございます。また、1日で9名の方が読者登録して下さいました。本当に感謝いたします。さらに不思議なことに通常700件前後のアクセス数が、いきなり3,824件まで延びました。技術士試験間際の時でさえ1000数…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。

10年前の2004年12月31日に初版が発行された本ですが、『ガリレオの指』-(ピーター アトキンス著:斉藤隆央訳-早川書房)と言う本があります。サブタイトルは「現代科学を動かす10大理論」、3,456円で今でも購入できる本です。原題も『GALILEO'S FINGER』…

腕時計のその後

ここのところ、毎日更新できないのですが、13日のブログでスイスの時計産業のことを書きました。今日は、日本のクオーツ時計に負けたその後のことを書きます。 日本の時計メーカはクオーツ腕時計によって、1970年代、80年代と世界市場を独擅しました。しかし…

こだわりが、良い結果を生むこともあります

アメリカは、1900年代の初期の頃から車社会でした。しかし、そのため自動車の排気ガスによる大気汚染はより深刻な状況にありました。1970年、通称「マスキー法」と呼ばれる大気浄化法改正法がアメリカの上院議員、エドムンド マスキーの提案により議会へ提出…

拘り:こだわりは、時に間違いの元になります

「拘りの一品」なんて言うと、手作り工芸品や高級アクセサリー、高級文具、家具などを連想させます。「拘り」は、どちらかと言うと良いイメージの言葉です。しかし、その「拘りが」時に人間の判断を誤らせることになります。 1960年代、世界の腕時計市場は、…

海が汚れていく、小さな石油流出も積み重なると・・・

先月(3月)21日、テキサス州ガルベストン湾で漏れ出た63万5000リットルの石油のような明白な石油流出は通常、油にまみれて真っ黒になった野生動物の写真を伴って世界的なニュースとなります。 例えば、毎日新聞には以下のような記事が載っていました。 ガル…

STAP細胞と科学の歴史-ポリ ウォーター

ポリ ウォーター(異常水)は、1966年にボリス デリャーギンというロシア人科学者によって発見されました(正確には発見ではありません)。デリャーギンは、モスクワから160キロメートルほど離れた研究所に勤務していた一研究者です。この特殊な形態の水は、…

STAP細胞と科学の歴史-N線

ルネ ブロンドロ(1849~1930)は、N線の発見者 という名誉とはいえないような名誉をもっています。ブロンドロはフランスのナンシー大学(現在もソルボンヌと並ぶ一流大学)の研究者で、傑出した物理学者であり、1800年代後半には数々のすぐれた物理学上の業…

STAP細胞と科学の歴史

私自身はあまり関心がありませんが、昨日は「STAP細胞」の件でマスコミは大賑わいでした。これまでの科学上の大発見でも、後になって間違いだったというものは数多くあります。もちろん、発見者には、人を騙すつもりは毛頭ありませんでした。 福島原発の記事…

技術者倫理・チャレンジャー号の爆発事故とシティコープタワーの倒壊回避-3

事故を避けることができなかったチャレンジャー号のボイジョリー氏と、ビルの倒壊を防ぐことができたルメジャー氏の違いはなんだったのでしょう。結論から言うと、情報の伝達能力です。要点をまとめ、客観的データを揃えて伝えるべき人に伝える能力、二人の…

技術者倫理・チャレンジャー号の爆発事故とシティコープタワーの倒壊回避-2

シテイコープ・タワーは、1977年にニューヨーク・マンハッタンの中心部に建設された59階建ての高層ビルです。池袋のサンシャイン60(1978年完成)は60階建てですがから、ほぼ同じ大きさの建物と考えて下さい。このビルは、完成後にビルの構造設計を担当した…

技術者倫理・チャレンジャー号の爆発事故とシティコープタワーの倒壊回避-1

比較するための事例は2件とも過去にのこブログで取上げています。 2013年11月17日の「一級建築士Aによる、耐震強度の偽装」と 2013年1月28日の「スペースシャトル チャレンジャー号の爆発事故」です。 手抜きで過去記事の比較検討を行う訳ではありません(そ…

グッドリッジ社の戦闘機用ブレーキ開発

今週いっぱい、原発関連記事はお休み致します。会社の仕事その他の関係で資料整理が進んでおりません。まさか、お持ちしている方はいらっしゃらないと思いますが、なるべく早急に雑務を片付けます。 グッドリッジ社の戦闘機用ブレーキ開発に関する内部告発 …

期待されている電磁波ーテラヘルツ光

昨日は、紫外線のお話でした。もっとも、ほとんどの女性の方は紫外線が肌に良くないことは実感していらっしゃると思います。私は、野外活動をしませんので日に焼けることはあまりありません、引きこもっている訳ではありませんがゴルフなどもしませんし、紫…

電磁波と放射線-1

度々ですが横道にそれます、今週は纏まった時間が取れないので雑学的な話になりそうです。申し訳ありませんが調べることの少ない話で終わらせます。 放射線の中で電離を起こすエネルギーの高いものを電離放射線、そうでないものを非電離放射線と分ける場合が…

技術者倫理

別に理化学研究所に絡めているわけではありません。技術者倫理の文献にしばしば引用されるビデオ教材に「ギルベイン ゴールド」と言う架空の物語があります。これは、全米プロフェッショナル エンジニア協会によって製作された学生の教材となるビデオです。…

インフルエンザと大雪と

身体は、やっと平常通りに戻りました。昨日は、電車が動いたら会社へ行くつもりでしたが、東武東上線は森林公園までしか動かず。森林公園~寄居間は終日不通、それにしてもすごい雪の量でした。私の記憶の中では平成6年(1994年)2月12日の大雪と平成10年(1…

福島原発事故-1

序章-1 そろそろ、福島原発のことに入ろうかと思います。原子力のことは30回ぐらい色々と書きましたからこのブログを読んで下さった方なら基礎的な知識は十分ではないかと思うからです。今年1年、技術士試験のことを書く時以外は、福島原発の事故について書…

2001年宇宙の旅・便乗-2

「2001年宇宙の旅」ですが、昨日改めて見直しました。あれは、数十万年ではなく百万年以上前の人類ですね。多分ホモ ハビリスがモデルだと思います。現在分かっている限り最も初期のヒト属だったホモ ハビリスはヒト属の中では現生人類から最もかけ離れてお…

アトミック パワー・大いなる力の制御-6

ここで、単位の話をもう一度。 ジェームズ ワットは、健康な馬一頭が可能な仕事率を計測し、この単位を「馬力(horse power)」と名づけました(正確には英馬力)。この用語は、馬に取って代わった自動車の仕事率を表すために、いまでもごく一般的に用いられて…

アトミック パワー・大いなる力の制御-5

前後の繋がりが悪いままで書き進めていますが、その辺りはブログですので勘弁して下さい。原発事故の詳細を説明する時はもっと上手くまとめるつもりです。現在、調査報告書を読み始めたところですが、それぞれ1000ページもあって比較検討を精緻にやったら1年…

アトミック パワー・大いなる力の制御-4

もう一度、発電時に必要な燃料の比較をします。大いなる力の制御-1の時に書きましたが原子力発電では、計算上出力100万KWに対し1日3キロの燃料が必要です。しかし、実際は全部を使い切ることはできずロスがでます。そのため、1年間で2.1トンほどのウランが必…