takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

書評

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される-8

アーレントは人間の基本的な活動力を、労働、仕事、活動の三つに区分しています。 「労働はあらゆる人間が経験する、生き、成長し、最後には衰えるという生物学的過程にかかわる活動力であり、基本的には生命の維持である」あるいは、「労働の人間的条件は生…

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される-7

気に入ったタイトルですが、随分と無理して書いている気がします。12日のニーチェは何だか分らない記事でした。しかし、こうやって恥ずかしい思いをして書き続けていれば自分のためにはなるでしょう。よく言われますが、何かについて詳しくなりたかったら本…

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される-6

今回は、フリードリッヒ ニーチェ(1844年10月~1900年8月)です。知名度で言えば世界の哲学者の中でもトップクラスでしょう。著作も有名です。以下主要なものを年代順に並べると。 『反時代的考察』(1876年)『人間的な、あまりにも人間的な』(1878年)『…

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される-5

アルトゥル ショーペンハウアー(1788年2月~1860年9月)は、ドイツの哲学者です。日本では、ショーペンハウエルとも呼ばれますが、名前の綴りを英語風に読むかドイツ語風に読むかの違いです。主著は『意志と表象としての世界』です。1819年、31歳の時に出版…

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される-4

最初は古代ローマ帝国の政治家マルクス トゥッリウス キケロ(紀元前106年1月~紀元前43年12月)です。日本では単にキケロまたは、キケローと呼ばれることが多いと思います。 キケロは、ラテン語散文の名手と評価されており、その完成者といわれています。そ…

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される-3

変なタイトルが妙に気に入るときがあります。今回のタイトルでしばらく続けます。 もの作りに励むエンジニアに読んでおいて欲しい、哲学関係の本があります。今日は、時間がありませんから、10冊だけ書名と作者を紹介して明日以降、内容を書こうと思います。…

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される-2

昨日は、あまり考えないでこのタイトルを付けたのですがよく考えてみると変なタイトルですね。ブログのアクセスを上げるにはタイトルが重要だそうです。このタイトルでは、それは望めませんがまあそれは良しとします。もちろん、大勢の人の目に触れて事故や…

エンジニアは、哲学の夢に魘(うな)される

会社の業務、本の原稿などでブログが滞ってしまいました。「安全な社会」は、9回で一度切り上げます。 テレビや新聞であまり取り上げられなかったため、文部科学省の発表に気がつきませんでした。内容は以下のようなものです。 「国立大学法人の組織及び業務…

森鴎外も読もう

漱石の作品中、自分のベスト5を選んで大雑把に紹介しました。技術屋の書いた文学の話ですから信用しないで読んでください。生年や発表年などは、全集の最後にある年表を元に書いています。 さて、漱石が一区切り付きましたので今度は、鴎外です。おそらく、…

死ぬ前にもう一度読みたい本

唐突ですが、本を読む目的は何ですか。現在の私は、小説・詩・戯曲などの文芸作品を読みません。科学技術(エネルギー関係、環境関係、医療技術等)や文章作成、論文の書き方みたいな本を多く読んでいます。言い換えると、専門知識を得るために本を読みます…

『世界でひとつだけの幸せ』マーティン セリグマン著

人はだれでも、幸せになりたいと思っているはずです。本書は、幸せになるための心構えに重点をおいて様々な事例から主張の正しさを裏付ける論法をとっています。あなたは、自分をネガティブだと考えていませんか?そんな人のためにこの本はあります。この本…

難しい本を無理して読む-2

昨日ご説明しました「善の研究」で続けます。文章の言い回しが古くて読みにくいと言うのもあります。確かにそれもあるのですが、それよりも話が飛んで行くところが分からないと言う方が良いのかもしれません。昨日の文の続きを引用します。 しかしこれらの知…

難しい本を無理して読む

一口に難しい本と言っても色々あります。以下、簡単に分けてみます。 書くべき対象が難解で、作者自身がそれを十分理解せずに書いているため、難解になっている本。 本当は、簡単な話なのに作者が気取って難しく書いてある本。 逆に、こちらに読む力が不足し…

クイズをもう一問・ワシントンD.C.はどこにある?

クイズと言うほどのものではありませんが、まあ、知っていて損はしない問題です。米国、サンフランシスコがあるのはカリフォルニア州です。また、ニューヨークがあるのはニューヨーク州。そこで、問題です。 「では、アメリカ合衆国の首都、ワシントンがある…

カフェオレ、カフェラッテそして銀ブラ

今日は、軽いお話です、というか軽いクイズです。技術士受験の勉強で疲れた頭を休めて下さい。 「カフェオレ」と「カフェラテ」の違いを説明しなさい。 答です。もちろん、フランス語とイタリア語の違いもありますが、 カフェ・オ・レ(フランス語:café au …

環境学、あるいは環境工学、お薦めの本はこれです。

『環境危機をあおってはいけない』ビョルン ロンボルグ著・山形浩生訳:文藝春秋社(2003年6月刊) デンマークの統計学者が書いた環境問題に関する提言です。一時期、温暖化懐疑論の方々にはカリスマ的な存在になりましたが、ロンボルグは温暖化は間違いだと…

『ガリレオの指』以外、大人向け(高校生以上)科学の本、お薦めはこれです。

科学関係の本は、ほとんどPDFになっています。数百冊のタイトルを眺めながら時々中身を確認していたら2時間近く掛かってしまいました。少し古い本もありますが、私のお勧めは以下の3冊です。 『DNAに魂はあるか―驚異の仮説』フランシス クリック著・中原 英…

子供向け生物学の本、ベストスリーはこれです

『ミイラになったブタ』スーザン E クインラン著・藤田千枝訳:さえら書房 (1998/05刊) アマゾンでも、誰もレビューを書いていない本ですが、中身は間違いなく一級品。トナカイの大量死事件、チョウの美しさの秘密、ミイラになったブタ等、生態学者が調べた…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第3章-エネルギー-収支勘定の通貨-2

やはり書きかけのものは、終わりまで書きます。 熱力学的をに絞った本なら同じアトキンスの『万物を駆動する四つの法則-科学の基本、熱力学を究める』-早川書房:斉藤隆央訳・2009年2月25日初版発行、の方がより詳しく分かりやすく書いてあります。『ガリレ…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第3章-エネルギー-収支勘定の通貨

深遠なアイデア-エネルギーは保存される。 105~135頁 31頁を300文字に圧縮するとアトキンスはこう言っています。 エネルギーの本質を把握するには、空間を進む物体の運動の性質と熱の性質を理解する必要があると説いています。 運動の性質に関して、2000年…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第2章-DNA-生物学の合理化-2

昨日は、第2章-DNAのメンデルに関するところだけご説明しました。今日はその後の部分です。 DNAこそが遺伝情報を担う物質だと分かってからは、その分子構造に関心があつまりました。その構造がある程度分かったのはアメリカの生化学者エルヴィン シャルガフ…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第2章-DNA-生物学の合理化

深遠なアイデア-遺伝形質はDNAに暗号化されている。 59~104頁 45頁を300文字に圧縮するとアトキンスはこう言っています。 およそ150年前に行われたグレゴール メンデルの実験によって遺伝子という概念が考え出され(メンデルの死後)、20世紀初頭には染色…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』第1章-進化

深遠なアイデア-進化は自然選択によって生じる。 第一章・12~58頁 47頁を200文字に圧縮するとアトキンスはこう言っています。 「生命は、かけがえのないものなので、長いことそのために特殊な創造過程が必要だと考えられていた」と書き出したアトキンスは…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。『ガリレオの指』・プロローグ編

昨日は、ブックマークを沢山頂きました、ありがとうございます。また、1日で9名の方が読者登録して下さいました。本当に感謝いたします。さらに不思議なことに通常700件前後のアクセス数が、いきなり3,824件まで延びました。技術士試験間際の時でさえ1000数…

一般向けの科学の本、最良の本はこれです。

10年前の2004年12月31日に初版が発行された本ですが、『ガリレオの指』-(ピーター アトキンス著:斉藤隆央訳-早川書房)と言う本があります。サブタイトルは「現代科学を動かす10大理論」、3,456円で今でも購入できる本です。原題も『GALILEO'S FINGER』…

『マクベス』、私のナンバーワン悲劇-4

さて、シェイクピアのマクベスにはモデルがいます。いますと言うよりもスコットランド王マクベスは実在の人物です。しかし、その人の史実については、ほとんど知られていません。はっきりしている事は、彼が1040年から1057年までの17年間、スコットランド王…

『マクベス』、私のナンバーワン悲劇-3

日本語訳は、恩師福田恆存のシェイクスピア全集第13巻-新潮社刊を使いました。 第1幕第3場 MACBETH. [Aside.] Two truths are told, As happy prologues to the swelling act Of the imperial theme. 2つは当たった、王位を賭けた壮大な芝居には、もってこ…

『マクベス』、私のナンバーワン悲劇-2

名台詞の前にマクベスを簡単に紹介します。 先ずは登場人物 三人の魔女 ダンカン:スコットランド王 マルカム:ダンカン王の長男 ドナルベイン:ダンカン王の次男 マクベス:グラミスの領主、スコットランド軍の将軍 マクベス夫人 バンクォー:スコットラン…

『マクベス』、私のナンバーワン悲劇-1

マクベスはシェイクスピアの4大悲劇の一つとして、『ハムレット』『リア王』『オセロー』と並び称せられています。そのうちでも、1番最後に書かれたもがマクベスであると言われています。最初に上梓されたのは、シェイクスピア没後の1623年に出た二折本全集…

ジョージ スタイナー・1

ご迷惑をお掛けしましたが、ご本人のお許しを得ましたので削除した『ヒトラーの弁明サンクリストバルへのA・Hの移送』の元の文書をリンク致します。 お書きになった方は、早稲田大学文学部の岡田准教授です。トーマス カーライルに関しては日本でもトップク…