takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

平成31年度技術士試験を説明します-その3

試験で試される能力

 

先ずは、技術士会が発表した資料を見ましょう。

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上記のようになっています。

順番に行きます。

 

1)午前中の必須論文(部門共通、全ての科目で同じ問題を解答する)

専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力

4つの能力を試されます。

出題内容は

現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的な
エンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決
方法を提示し遂行していくための提案を問う。

評価項目は

技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち,専門的学識,問題解
決,評価,技術者倫理,コミュニケーションの5項目

 

 

2)午後の選択科目論文:専門知識に関する問題・解答用紙1枚で解答する

選択した科目の専門知識を試されます。ただし、科目の統合によって範囲が変わっています。また、変更のない科目でも、内容に変化がありますから確認して下さい。

例えば、機械設計は機械設計のままですが、

30年度までは

機械要素、トライボロジー、設計工学、設計情報学その他の機械設計に関する事項

31年度からは

設計工学、機械総合、機械要素、設計情報管理、CAD(コンピュータ支援設計)・CAE(コンピュータ援用工学)、PLM(製品ライフサイクル管理)その他の機械設計に関する事項

と変わっています。全く変化のない科目もあります。

https://www.engineer.or.jp/c_topics/005/attached/attach_5698_2.pdf

それぞれ、自分の科目を確認して下さい。

 

出題内容は

「選択科目」における重要なキーワードや 新技術等に対する専門的知識を問
う。

評価項目は

技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち,専門的学識,コミュ
ニケーションの2項目

 

3)午後の選択科目論文:応用能力に関する問題・解答用紙2枚で解答する

出題内容は

「選択科目」に関係する業務に関し,与えられた条件に合わせて,専門知識や
実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき,業務上で留意すべき点や工夫を
要する点等についての認識があるかどうかを問う。

評価項目は

技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち,専門的学識,マネジ
メント,コミュニケーション,リーダーシップの4項目

 

 

4)午後の選択科目論文:問題解決能力及び課題遂行能力に関する問題・解答用紙3枚で解答する

出題内容は

社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として,「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い,多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について提示できるかを問う。

評価項目は

技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち,専門的学識,問題解
決,評価,コミュニケーションの4項目

 

重要なこと

全ての試験で試される能力は「専門的学識」と「コミュニケーション能力」です。

専門的学識は、まあお分かりだと思います。

その科目に対する専門知識です。

では、コミュニケーションとは何でしょう。

自分の考えを論理的に分かり安い文章で伝えることができる能力です。

 

 

 

 

 

 

 

平成31年度技術士試験を説明します-その2

昨日は、科目の変更・統合についてご説明しました。

今日は試験の内容についてご説明します。

まず、平成25年度から30年度までの試験内容です。

試験科目

問題の種類

試験方法

試験時間

配点

必須試験

(部門全体)

技術部門全体に渡る専門知識

択一式

20問出題

15問解答

1時間30分

30点

選択科目Ⅱ

(選択科目ごと)

選択科目に関する専門知識及び応用能力

記述式3問

600字詰め解答用紙

4枚で解答

2時間

40点(註1)

選択科目Ⅲ

(選択科目ごと)

選択科目に関する課題解決能力

記述式1問

600字詰め解答用紙

3枚で解答

2時間

40点(註1)

註1:それぞれ40点だが合算して80点満点で評価される。

60%以上で合格。

この6年間は、上記の内容でした。

既に、今回の試験で択一が難しかった、8/15しか取れませんでした。などと言った連絡が入っています。とは言え、まだ正解は発表されていません。

勝手に自己判断しないで、発表を待ちましょう。

話を戻します。

この試験内容は31年度から以下のようになります。

試験科目

問題の種類

試験方法

試験時間

配点

必須試験

(部門全体)

技術部門全体に渡る専門知識、応用能力、問題解決能力及び、課題遂行能力

記述式1問

600字詰め解答用紙

3枚で解答

2時間

40点

選択科目Ⅱ

(選択科目ごと)

選択科目に関する専門知識及び応用能力

記述式2問

600字詰め解答用紙

3枚で解答

3時間30分

30点(註1)

選択科目Ⅲ

(選択科目ごと)

選択科目に関する問題解決能力及び課題遂行能力

記述式1問

600字詰め解答用紙

3枚で解答

30点(註1)

註1:それぞれ30点だが合算して60点満点で評価される。

60%以上で合格。

ご存じだと思いますが、択一試験は論文試験に変わります。

そして、配点が大きくなります。

さらに、午後の試験は休み無しで3時間半、6枚の解答を書き続けなければなりません。

これは、体力の勝負にもなるでしょう。

総合技術監理部門の試験は、同じ時間で5枚の解答ですから、1枚多いのです。

午後は、大雑把に言って、これまでと同じⅡ-1+Ⅱ-2+Ⅲをそれぞれ1問解答です。

これまでは、Ⅱ-1を2問とⅡ-2を1問で2時間でした。

また、休憩時間を置いて、Ⅲを2時間で解答です。

要するに4時間で7枚。

こんどは3時間半で6枚です。

解答の構成を素早く纏められないと最後は時間切れで「そこまで!」となりかねません。

また、Ⅱ-1は1問ですが、出題数は4問ではないかと思います。

科目の統合がありますから、そうしないと範囲が広くて解答できなくなる可能性もあります。4問出題される思います。

 

明日は、必要とされる能力についてご説明します。

 

平成31年度技術士試験を説明します

平成30年度の技術士二次試験が終わりました。

上手く解答できた方、あまり上手く解答できなかった方、様々です。

  • 択一試験が難しかった
  • 1問題意を外しました
  • 時間切れで最後まで書き終わりませんでした
  • 誤字脱字が多かった
  • 思った通りの範囲が出題されました
  • 模擬試験のときに注意されたところがそのまま出ました

様々です。

試験の予想云々に関して、種明かしをすると私はたくさん予想するので(模擬問題をたくさん作るので)、どれか当たるのです。今は誰も言わなくなった「ノストラダムスの予言」と同じです。たくさん意味不明の予想を書けば、「これは当たっている」と思う人もいます。

ですから、そこは気にしないで下さい。当然ですが当てようと思って作っているわけではありません。

 

では、31年度の試験です。

今日から3回に分けてご説明します。

これまでも、「31年度技術士試験が見えてきた」と題して、何度か説明していますが、今回、振り返りを含めて纏めて見ます。

先ずは、一般部門の科目が変更になり一部統合されます。

主要な部門の科目を見てみましょう。

詳しくは以下のURLも見て確認して下さい。

https://www.engineer.or.jp/c_topics/005/attached/attach_5698_2.pdf

 

名前など全く変更のないところでも、詳細部分で変更はあります。

ただし、受験するときにそれが大きく影響することはありません。

一つ大きな注意として、船舶海洋部門の船用機器科目が機械部門に統合されています。

 

変更無しの部門もあります。

機械部門(10科目が6科目へ)

(30年度まで)

  • 機械設計
  • 材料力学
  • 機械力学・制御
  • 動力エネルギー
  • 熱工学
  • 流体工学
  • 加工・ファクトリーオートメーション及び産業機械
  • 交通・物流機械及び建設機械
  • ロボット
  • 情報・精密機器

(31年度から)

  • 機械設計
  • 材料強度・信頼性
  • 機構ダイナミクス・制御
  • 熱・動力エネルギー機器
  • 液体機器
  • 加工・生産システム・産業機械

電気部門(1科目の名前変更のみ)

(30年度まで)

  • 発送配変電
  • 電気応用
  • 電子応用
  • 情報通信
  • 電気設備

(31年度から)

  • 電力・エネルギーシステム
  • 電気応用
  • 電子応用
  • 情報通信
  • 電気設備

 

化学部門(名前変更と一科目統合)

(30年度まで)

  • セラミックス及び無機化学製品
  • 有機化学製品
  • 燃料及び潤滑油
  • 高分子製品
  • 化学装置及び設備

(31年度から)

 

金属部門(3つの科目を1つに統合)

(30年度まで)

  • 鉄鋼生産システム
  • 非鉄生産システム
  • 金属材料
  • 表面技術
  • 金属加工

(31年度から )

  • 金属材料・生産システム
  • 表面技術
  • 金属加工

 

建設部門(変更無し)

全く変わりません

  • 土質及び基礎
  • 鋼構造及びコンクリート
  • 都市及び地方計画
  • 河川、砂防及び海岸・海洋
  • 港湾及び空港
  • 電力土木
  • 道路
  • 鉄道
  • トンネル
  • 施工計画、施工設備及び積算
  • 建設環境

 

衛生工学(一部統合)

(30年度まで)

 

  • 大気管理
  • 水質管理
  • 廃棄物管理
  • 空気調和
  • 建設環境

(31年度から)

  • 水質管理
  • 廃棄物・資源循環
  • 建築物環境衛生管理

 農業部門(一部統合)

(30年度まで)

  • 畜産
  • 農芸化学
  • 農業土木
  • 農業及び蚕糸
  • 農村地域計画
  • 農村環境
  • 植物保護

(31年度から)

  • 畜産
  • 農業・食品
  • 農業農村工学
  • 農村地域・資源計画
  • 植物保護

 森林部門(一部統合)

(30年度まで)

  • 林業
  • 森林土木
  • 林産
  • 森林環境

(31年度から)

  • 林業・林産
  • 森林土木
  • 森林環境

 

水産部門(一部統合)

(30年度まで)

  • 漁業及び増養殖
  • 水産加工
  • 水産土木
  • 水産水域環境

(31年度から)

  • 水産資源及び水域環境
  • 水産食品及び流通
  • 水産土木

 

経営工学部門(一部統合)

(30年度まで)

(31年度から)

 

情報工学部門(名前の変更のみ)

(30年度まで)

(31年度まで)

 応用理学(変更無し)

  • 物理及び化学
  • 地球物理及び地球化学
  • 地質

 

環境部門(変更無し)

 

総合技術監理部門は、全く変更ありません。

気にしないで良いでしょう。

技術士会が発表している対照表もアップします。

 

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もう一枚有ります。

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 どちらも、技術士会のサイトからダウンロードしたものです。

www.engineer.or.jp

 

必ず確認してください。

 

4年前の『国土強靱化基本計画』はどこへ行ったのでしょうか?

内閣府で定めた(閣議決定された計画に

『国土強靱化基本計画』と言うものがあります。

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これが作られたのは平成26年です。

一体、何をやっていたのでしょうか?

平成26年8月には平成26年8月豪雨」と命名された、大雨がありました。

平成27年9月は北関東・東北豪雨

平成28年8月には北海道・東北の豪雨

平成29年6月に北九州豪雨です。

 

他に、もちろん地震や噴火があります。

どれも死者や行方不明者が出ている災害です。

やると決めたんだからやりましょうよ。

基本計画には良いことがたくさん書いてあるけど、何もしないのなら小学生の夏休み計画と同じです。

(小学生の皆さん、悪気はありません。宿題はしっかりやって下さい。)

記録的だとか何とか言うけど、雨ぐらいで100人以上の人が亡くなるのは防ぐことができると思います。

 

 

インフラ整備しましょうよ!

日本は財政が逼迫しているから、国債の発行は減らすというお話しです。

でも、今回のように100人以上の人が亡くなって、「お金がありませんから諦めて下さい」と言うつもりですか。

www.jiji.com

 

ちなみに、素人の私が言うことではありませんが、国債って国内で保有している訳ですよ。

日本政府の借金は日本の金融機関が持っています。

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国債だけを拡大します。

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これで破綻しますかね?

国債発行すれば良いでしょう。

海外の保持率は6%しかありません。

当たり前ですが、日本は山がちな国土なので土砂災害は多いのです。

国土の70%は山地。

土砂災害は毎年1,000件以上発生しています。

これで何もしないのはどうかしてます。

そもそも、国債の発行残高が増えて誰が困るの?

これまで納得できる説明を聴いたことがありません。

そもそも、国債のデフォルトは財務省が「あり得ないと」言ってます。

 

以下、財務省のサイトから引用です。

 

外国格付け会社宛意見書要旨外国格付け会社宛意見書要旨  

 

貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。

貴社の格付け判定は、従来より定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、格付けの信頼性にも関わる大きな問題と考えている。 

従って、以下の諸点に関し、貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。

(1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。 

 

(2) 格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。 例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている

日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高

 

引用元は以下

 

www.mof.go.jp

 

だったたインフラぐらい整備しましょうよ!

 

 

 

 

 

 

インフラ途上国日本

これは本当に情けないと思います。

www.yomiuri.co.jp

もう一つ

www.asahi.com

いかに記録的な大雨と言えども、地震と異なり雨は事前に分っている訳です。

ハザードマップも、避難警告も何の役にもたたない。

インフラ整備ぐらいしっかりやってくれと言いたい。

今、分っているだけで49名の方が亡くなっている訳です。

日本は自然災害大国なのは分っているわけです。

インフラの整備はそれなりにやるべきです。

 

データで見たい方はこちらをどうぞ。

http://www.mlit.go.jp/river/sabo/jirei/h29dosha/H29dosyasaigai.pdf

3~4年に1回の割合で、今回ぐらいの被害は出ています。

亡くなった方の冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

 

 

 

オウム真理教幹部の死刑執行

www.yomiuri.co.jp

 

かの有名な事件です。

と言っても、20年以上も前の事件ですから、大学生までの方はほとんど知らない事件でしょう。

事件自体は平成7年の話です。

教祖は空中浮揚ができるということだったので、絞首刑は無理かと思いましたが、できたのですね。

やはり空中浮揚は嘘でした。

私自身は、友人、知人で被害者も加害者もいません。

ただ、事件当時自分の親から「おまえやってないだろうね?」と疑われました。

アホらしいです。

テロで世の中が良くなると思ったことはありません。

ですから、共産主義の暴力革命も全く認めません。

とにかく、今回、平成7年当時を思い出しました。

 

お茶の水女子大学さん、本質的に解決した方が良い

 

東京の名門女子大「お茶の水女子大学」では、心が女性の男子学生を受け入れることにしたらしい。

www.yomiuri.co.jp

 

別にそれでも構わないけれど、だったら「女子大」を止めて「お茶の水大学」にした方が良いのではないかと思います。

施設の準備だ何だと受け入れ面で費用も掛かるでしょう。

もし一人しか入学しなければ大変な費用になると思います。

初めから「女子」の枠がなければそんな心配も無用です。

もう一度、考えませんか?

 

シャーロキアンのシャーロックホームズ:第14弾『バスカヴィル家の犬』

これまで、シャーロック・ホームズシリーズ60作の内、有名な作品を選んで感想のようなものを書いてきました。今回の14作品目で一応、終了です。また、時間を空けて他の作品も紹介するかもしれませんが、ここまでで一度終了します。

長い間、ありがとうございました。

最初の「まだらの紐」は2月3日に公開しましたから、4ヶ月半掛かったことになります。

takumi296.hatenablog.com

この少し前から小説も書いていました。

さて、今回の『バスカヴィル家の犬』ですが、少し趣向を変えて読んでいます。

 

何をしたかと言いますと偕成社版の児童書にて、「バスカビル家の犬」を読んでみましたのです。
この「新たな試み」のきっかけは、子供の頃の読書経験を、追体験したかったからです。―ポプラ社の「少年探偵団」シリーズ―
あの硬い表紙―手に持つと、子供にとってはその重厚感がいい―を開くと、明智小五郎と少年探偵団が、怪人二十面相と死闘を繰り広げる。ドキドキして読んだ方も多いと思います。裏表紙は、明智小五郎の有能な助手・小林少年が、弁当箱のような大きいトランシーバーを持ち片膝ついて、秘密の話をしている挿絵。江戸川乱歩推理小説は、ミステリアスで「大人の読者へパスポート」でした。

『バスカヴィル家の犬』。偕成社版であっても、当時のドキドキ感が蘇り、児童書であっても、大人も十分に楽しめます。なんといっても、数は多くないのですが、挿絵がいい。効果的に配置されています。ポプラ社の「少年探偵団」シリーズもそうでした。推理小説なので、子供にはちょっと怖く、恐怖感をあおるものでした。
P28の挿絵は、『バスカヴィル家の犬』の魔犬伝承物語を説明したもの、その物語のハイライトは、以下のように訳されています。

「三人の酔漢の頭髪もさかだつ恐怖は、娘のむくろにあらず。(中略)おぞましき巨大なる黒き獣の、ヒューゴーのむくろにおおいかぶさりて、のどにくらいつくを見たるがゆえなり。ヒューゴーののどを食いやぶりたる魔性の犬は、らんらんたる目と血のしたたる牙を三人にむけければ、彼ら、おののき悲鳴をあげて荒野を逃げもどりぬ。ひとりは、その日のうちに息たえ、ふたりは息あるも狂人となりしとぞ」。(「バスカビル家の犬」コナン・ドイル著、各務三郎訳、偕成社P28より)
陰鬱な挿絵に、時代がかった各務三郎さんの名訳が、相乗効果を呼び、大人の私でも十分に恐ろしい内容になっています。「大人の読者へパスポート」を手にしたばかりの子供には、恐怖そのものでしょう。
魔犬伝承物語もそうですが、「恐怖への強力なスパイス」は、舞台設定です。

「最後の事件」(1893年)以来、約8年間もの間、ドイルは、ホームズを墜落死させたままでしたが、以下の取材旅行をきっかけに、ホームズを蘇らせたのです。
「ジャーナリスト、フレッチャー· ロビンスンから、彼の故郷デボン州ダートムーアに伝わる魔犬伝説をききました。それは1901年3月のことでした。(中略)彼は、その月のうちに、フレッチャーといっしょに取材旅行にでかけました。(中略)
怪奇小説がすきだったドイルは、暗い幻想的なダートムーアの風景に惹かれました 丘 の斜面にある石器時代の住居跡、岩石が露出する起伏のはげしい荒野、プリンスタウン刑務所、グリムズパウンド沼…こうした背景から、本書でワトスン博士が描写するような馬をのみこむグリンペンの大沼や、脱獄囚がひそんだり、魔犬が跳梁する荒野が、生よれたのです」。(同書、P331)
何とも不気味な舞台設定が、『バスカヴィル家の犬』の恐怖をあおります。

大人になり、文庫本になじんできましたが、たまには、児童書にて、切り口を変えて読むと、「童心に帰った恐怖感」を味わえました。  
このように考えると、どのような読み方をしても「ホームズ物はいつも楽しめる」といえます。

ウィキペディアから、お借りましした。原作が発表されたときの本の挿絵です。

<予備知識>
コナンドイルは、1893年に発表した「最後の事件」で一度ホームズを葬っています。
それから、8年ぶりで発表された新作が『バスカヴィル家の犬』(1901年発表)でした。
ドイルは、ホームズという役者がすでにいるのに、「新しい役者を用意する必要もあるまいと思った」と語っています。
しかし、この作品はホームズがライヘンバッハの滝へ転落する以前の事件を書いたものであるため、書店に押し寄せた読者は失望させられることになりました。
ホームズが本当の意味の生還を遂げるには、読者はもう数年を辛抱しなくてはならなかったのです。(1905年発行の第3短編集まで

小説が完成しました

ついに、やっと完成しました。

新潮社の日本ファンタジーノベル大賞に応募しました。

www.shinchosha.co.jp

 

400字詰め原稿用紙換算で364枚です。

2月半ばから書き始めて、5月末に一通り完成してから今まで推敲を続けました。

今回は、初挑戦なので二次選考を突破するのが目標です。

経過は、例え一次で落ちてもここに載せます。

11月の月刊新潮にのれば、最終選考に残ったことになります。

まあ、今回は無理でしょう。

 

それにしてもなんで小説なんて書こうと思ったのか?

自分でも少し不思議です。もちろん前から小説は好きでした。そのため、好きな学科はずっと理系でしたが、学生時代は小説ばかり読んでいました。

小学生時代は、シャーロック・ホームズです。

これは今、時々感想をここで公開していますが、新たに読み直して書いています。

次の「パスカビル家の犬」で一応終わりです。

中学時代は、芥川龍之介夏目漱石森鴎外太宰治、後は横溝正史なんかに嵌っていました。横溝の本は今は持っていませんが、上記4名の本は、今でも全集を持っています。

高校時代(高専ですが)、海外文学に凝りました。

ビクトル・ユーゴーロマン・ロランバルザックスタンダールドストエフスキーチェーホフ、それとシェイクスピアも忘れられません。

ただ、ドストエフスキーは、嫌いになったこともありました。正直、くどい。

あまりににも、しつこい。でも、最近パラパラ読んだのですがやはり素晴しい作品ですね。できれば、この歳になってから「カラマーゾフの兄弟」と「悪霊」は読み返してみたいです。まあ、死ぬまでに読みます。

このように書くとお分かりでしょうが、現代の作家の本をほとんど読んでいません。そもそも、社会人になってからは、小説を読まなくなりました。年間で100冊程度の本は読みますが、小説は10冊になるかならないかです。

ですから、今回苦労しました。現代的な書き方が分らないのです。出来上がって、応募したのですがこれで良いのかどうか分りません。でも、懲りずに次作を書くつもりで今、次作のプロットを用意しています。

ビジネス書や試験対策の本と異なり小説は「作り話」です。言ってみれば「嘘」の話です。他人が語った「嘘」の話を人に読ませる意味はなんでしょうか?

坂口安吾という昭和初期~中期の作家をご存知ですか?

その人が小林秀雄のことを語った「教祖の文学」の中でこんなことを書いています。

 

小説なんて、たかゞ商品であるし、オモチャでもあるし、そして、又、夢を書くことなんだ。第二の人生といふやうなものだ。有るものを書くのぢやなくて、無いもの、今ある限界を踏みこし、小説はいつも背のびをし、駈けだし、そして跳びあがる。だから墜落もするし、尻もちもつくのだ。

 

坂口安吾は、失敗作も多く、決して文豪と呼ばれる作家ではないのですが、この「教祖の文学」は好きだし、面白作品だと思います。

さて、自分の書いた小説を読み直して、何度も確認しました。

  • 商品になるお話しだろうか?
  • オモチャとして受け入れて貰えるだろうか?
  • そして、夢が書けたのだろうか?

公開すると、応募資格がなくなりますから、公開は出来ませんが、落選した時点で公開するつもりです。