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シャーロキアンのシャーロックホームズ:第12回『恐怖の谷』
最後の事件』にて、シャーロック・ホームズは、モリアティ教授とスイスのライヘンバッハの滝にもみ合いながら転落。二人とも死亡したことになっています。
ここで、「死亡したことになっています」と表現したのは、以下の理由からです。『最後の事件』は、1893年12月発表で、『恐怖の谷』は、1914年9月から翌1915年5月の発表です。この間の1903年10月に発表された『空家の冒険』にて、ホームズは、ワトソンの前に姿を現しています。つまり、『最後の事件』にて死んだはずのホームズは、『空家の冒険』にて生き返ったのです。この「生き返り」は、物語上でいえば、ライヘンバッハの滝の決闘が行われた1891年5月4日の3年後となっています。この3年間は、世のホームズファンから「偉大な失踪機関」と呼ばれています。
一方、決闘相手のモリアティ教授も、『恐怖の谷』にて再登場します。わざわざ生き返らせたモリアティ教授の存在は、作者のコナン・ドイルにとって、ホームズ、ワトソンについで重要な人物だったと思われます。
『恐怖の谷』は2部構成となっています。『緋色の研究』等と同じです。
第1部で事件の概要と解決に至るまでのホームズの推理が記されています。そして、第2部で事件の背景となった「恐怖の谷」と呼ばれるアメリカの炭鉱街・ペンシルベニア州ヴァーミッサ峡谷(Vermissa)での事件を記している訳です。注意ですが、日本語訳版では1部と2部の掲載順が逆になっているものもあります。
シャーロック・ホームズの終生のライバルとされる、ジェームズ・モリアーティ教授が事件の黒幕にいるとされています。
もう一つ、シャーロキアンの間では突っ込みどころが多くて有名な作品がこの『恐怖の谷』です。年代の記述に作者コナン・ドイルの錯誤があり他の作品と話が合わないのです。
また、この作品では「バールストン先攻法(ギャンビット)」と言う言葉が生み出されました。現代でも推理小説に良く出てきますが、真犯人である人物を、既に死んでしまったかのように見せかけ、 読者が彼(彼女)を容疑者から外すようにとし向ける手法がそれです。
『恐怖の谷』にて、ホームズは、マクドナルド警部とモリアティ教授に関して、以下の会話を交わしています。マクドナルド警部は、モリアティ教授の書斎にて、当人と会見をしています。その書斎には、ジャン・バティスト・グルーズという画家の絵がかかっていました。
ホームズは、「1750年から1800年にかけて、はなやかな活躍をした写実派のフランス画家です。むろん画家としての活躍をいうのだけれどね。近代の批評家は、当時の批評家以上にたかく評価していますよ」(『恐怖の谷』コナン・ドイル著、延原謙訳 新潮社 P28より)と指摘し、その絵が四千ポンドで売れたといい、「探偵というものは、どんな知識でもいつかは役にたつ時のくるものです」(同書、P29より)と自慢げになります。そして、「教授の俸給は、二、三の信頼すべき出版物について確かめたところによれば、年俸七百ポンドです」と、四千ポンドの出どころを懐疑的に思うことで、『恐怖の谷』に関しても、「モリアティ教授黒幕説」を展開します。
ジャン・バティスト・グルーズという画家は、実存しています。モリアティ教授の書斎に、ジャン・バティスト・グルーズの絵を配することによって、生き返ったモリアティ教授が現実味を帯びてきます。小説の中に、うまく現実を取り入れていると思います。
この手法で、私のお気に入りの箇所がもう一つあります。
『恐怖の谷』の悪党・マギンティが、ヘラルド新聞のジェームズ・ステンジャーを演説で糾弾する場面で、ジェームズ・ステンジャーの記事を以下のように引用します。「東洋の弱小専制国にその状態あり」(同書、P221より)と、『恐怖の谷』の窮状を指摘しているのです。『恐怖の谷』の発表年からすると、「東洋の弱小専制国」とは、まさに日本のことを指摘しています。当時は、第一次世界大戦期です。小説の中に、うまく現実を取り入れているどころか、日本を「東洋の弱小専制国」と例えたのは、その先の日本の行く末を予言しているかのようで、コナン・ドイルの考察には、驚くばかりです。
毎月最低5回の更新を目指していますが、今月は苦しかったです。
無理かもしれません。
シャーロキアンのシャーロックホームズ:第11回『緋色の研究』
『緋色の研究』(コナン・ドイル著、延原謙訳 新潮社)は、シャーロックホームズ物語の第一作です。
この物語の好きなところは、いくつかありますが、「タイトルの秀逸さ」を一番にあげます。(原題は『A Study in Scarlet』シャーロック・ホームズクラブの小林司、東山あかねは、これを『緋色の習作』と訳しています。)
『緋色の研究』は、「相当自信のあるこの作が世に出たのに反響は全くなかった。それでドイルは失望して、もうホームズ物は書くまいと思っていた」。(同書、P239より)このように、最初は振るいませんでした。
私は、「タイトルの秀逸さ」を言及しましたが、読み始めても、このタイトルの意味がわかりませんでした。一方、この作品の後に、計60のホームズものが生まれました。この『緋色の研究』を除いた作品のタイトルは事件と関係するトリック、登場人物、場所等からの引用となっています。
今まで、紹介してきた作品でも、『まだらの紐』『技師の親指』『ぶな屋敷』等々がそれらの例で、タイトルから、読書前に、ある程度まで具体的なイメージができあがるようになっています。
『緋色の研究』という抽象的なタイトルであるが故に、「この作が世に出たのに反響は全くなかった」という結果を生んだのではないかと、私は想像します。
さらに、『緋色の研究』(1887年発表)は、『緋文字(ひもんじ)』(ナサニエル・ホーソーン作、1850年発表)の影響を受けて、タイトルをつけたのではないだろうかと、想像を膨らませます。
『緋文字』は、ピューリタン社会において姦通罪を犯した主人公の女性が緋色のA(adulteress、姦通罪の意)を服につけさせられたという物語のストーリーから、タイトルを引用しています。このように、『緋文字』は、当時の宗教的な社会背景にて、生まれた作品です。
故に、モルモン教徒の戒律を題材にとりいれた『緋色の研究』も宗教的な社会背景にて、生まれた作品であり、『緋文字』の影響を受けたともいえます。
しかし、『緋色の研究』のタイトルからは、『緋文字』のタイトルのような象徴的なイメージが浮かびません。『緋色の研究』を読み進めます。すると、「生まれてはじめてというこのおもしろい事件を、むなしく逸したかもしれないんだからね。そう、緋色の研究とうやつをねえ。いささか美術的な表現をつかったっていいだろう?人生という無色の糸桛(いとかせ)には、殺人というまっ赤な糸がまざって巻きこまれている。それを解きほぐして分離し、(中略)明るみにさらけだして見せるのが、僕らの任務なんだ」。(同書、P73より)ホームズがワトソンに語りかけます。「殺人というまっ赤な糸」が、「緋色」とわかります。つまり、『緋色の研究』とは、「(赤い血をイメージする)殺人の研究」なのです。では、『赤の研究』でも、『血色の研究』というタイトルでもよいかと思います。
しかし、『緋文字』の影響により『緋色の研究』とタイトルをつけることによって、宗教的にも奥深い、かつ、美術用語的にも気障(キザ)な硬軟あわせた「タイトルの秀逸さ」が生まれたのです
平成31年度技術士試験が見えて来た:その2
技術士を目指す皆さんへ
技術士Lock-On:二次試験対策講座の匠です。
31年度の試験について少し見えて来た部分をご説明します。
それと、まだ先ですが今年の末ごろ(11月~12月)には、31年度の技術士試験に向けた試験対策の本を出して頂くことが決まっています。
京都の学芸社さんから出ます。
学芸社さんは、建築関係の本を多く出版されていますが、技術士試験の対策本にも熱心な出版社です。
さて、試験の方ですが、受験科目が減ることはすでにご説明しました。
(注意:以下の説明には私の推測が含まれています、絶対に正しい訳ではありません)
では、試験の内容はどうなるか?
先ず、最も大きな変更点は択一試験がなくなることです。
つまり暗記物はなくなります。
その代わりどんな試験になるか?
午前中の択一試験は「必須科目」と呼ばれていましたが、これは2時間で3枚解答する論文問題になります。
部門全体で解答する問題ですから、どちらかと言うと社会や業界の中で、その技術的問題をどう取り扱うかと言った問題になるのではと予想しています。
私が受験した頃(平成23~24年)も択一試験はなく、論文問題でしたが、部門によって問題の形式がかなり違いました。
31年度の試験では、そうならないと思います。
ですから、おそらく2問のうち、1問選んで解答する問題になるでしょう。
ちなみに、平成24年の機械部門、電気電子部門、建設の問題を載せます。
どの部門も2問出題の1問解答です。
そして、何を問うのか?
「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力
です。
こんな能力、皆さん持っています。
普段業務で使っています。ただ、普段と異なるのは、それを業務で行うのではなく、紙に書いてその能力を示さなければならないことです。
私は、専門科目の問題よりもこの必須科目の問題の方が得意でした。
なにしろ、私は機械の専門家とは言えません。
ですから、これとは別ですが総監部門の試験の方が簡単でした。
情けない話ですが平成23年の併願の時は機械部門で落ちています。
次に午後の試験です。
平成30年までの試験は2時間で区切って、全部で7枚の解答を書いていた訳ですが、こんどは3時間半で6枚の試験になっています。
もう一度、その部分をアップで載せましょう。
書いてある通り、休み無しで3時間半です。その時間で6枚の解答です。
おそらく、科目が統合されていますから、「Ⅱ-1」専門知識を問う問題が1問の解答になるでしょう。
問題数は同じ4問だと思います。
そして、応用能力を問う問題だった、「Ⅱ-2」は変わらないと思います。
また、「Ⅲ」の問題は、「課題解決能力を問う問題」から「課題解決能力及び課題遂行能力」を問う問題になります。
おそらく設問3の部分がより多く変更になるでしょう。
以上が形式的な変更点です。
こんどは、評価基準など内容的な部分を説明します。
31年度の試験を受ける方は必読です。
シャーロキアンのシャーロックホームズ:第10弾『ライトゲートの大地主』
「事実は小説よりも奇なり」。
イギリスの詩人・バイロンの作中の言葉です。
この言葉の逆パターンとも言うべきでしょうか、私の言葉で恐縮ですが、
「小説は事実の予言なり」。
こう感じたことは多々あり、小説家たちの想像力―むしろ、予知能力と言うべきでしょう―には、感心を通り越して、驚愕と言わざるを得ません。
例えば、伊坂幸太郎の仙醍キングスの躍進物語・『あるキング』(09年刊)における天才打者・山田王求の出現は、東北楽天イーグルス優勝時の田中将大の活躍(13年)の予言です。(別に野球ファンではありませんから、無理があると思う方にはごめんなさい)
このような予言は、作家による社会的なメッセージとも言えます。
そして、コナン・ドイルもまた、予言により、社会的なメッセージを残します。本書における事件解決の糸口は、筆跡鑑定です。
「『ライゲートの大地主』が発表されてから、一年後、フランスでドレフィス事件がおこっています。ドイツに機密をもらした容疑で、軍法会議にかけられたドレフィス大尉は、メモのあやまった筆跡鑑定から、有罪となり、悪魔島に流刑になりました」。(『シャーロック・ホームズの思い出(上)』の作品解説、偕成社、コナン・ドイル著、沢田洋太郎他訳 P306より)
『ピンチランナー調書』は35年後、『あるキング』は4年後の予言です。それらに対して、『ライゲートの大地主』は、1年後という驚くべき直前の予言となっています。しかも、前述の2作品は、ほぼほぼ事実が踏襲されますが、『ライゲートの大地主』は、事実への警句となっています。
小説は、シャーロック・ホームズが巧みな裁きで、筆跡鑑定の成功物語となります。一方、「ドレフィス事件」という事実は、「その筆跡鑑定をしたのが、有名な犯罪学者ベルティヨン。ホームズも評価していたベルティヨンですが、筆跡鑑定に熟練していなかったため、別の人物の書いたメモをドレフィス大尉がかいたものと判定する、大きなミスをしてしまいました。そのために、一時期、筆跡鑑定学は大打撃をこうむりました」。(同書 P306より)
この筆跡鑑定のミスは、ドレフィス大佐にドイツのスパイという嫌疑をかけることとなります。ドレフィス大佐は、ユダヤ系で反ユダヤ主義が存在している社会背景もあった嫌疑です。
歴史に「もしも、」はありませんが、「もしも、」有名な犯罪学者ベルティヨンに代わって、ホームズが筆跡鑑定をしたならば、ドレフィス事件が起こっていなかったかもしれません。
もっと言えば、ドレフィス事件により物議をかもした反ユダヤ主義の露呈がなかったでしょう。
一方、ホームズは小説の世界で、「専門家には興味がありそうな事実を二十三、推定しました」(『シャーロック・ホームズの叡智』の『ライゲートの大地主』コナン・ドイル著、延原謙訳 P105より)と、見事な筆跡鑑定と推理を披露します。この見事さは、一年後に起こるドレフィス事件を警句する予言だったと考えると、コナン・ドイル版「小説は事実の予言なり」と言えるでしょう。
この作品は、「まだらの紐」や「赤毛連盟」に比べれば有名とは言えません。しかし、当時、ほとんど知られていなかった筆跡鑑定を有名にした効果はあったようです。
日本には「日本法科学技術学会」と言う組織があって、警察で使用する筆跡鑑定の研究を行っています。
筆跡鑑定は、詳しく書き出すとそれだけで1冊の本が出来上がるほどの内容ですが、今回はそこに触れません。
何時か機会があれば、筆跡鑑定についてご説明します。
シャーロキアンのシャーロックホームズ:第9弾『最後の事件』
ロンドンでは葬儀まで行われた「最後の事件」でのホームズの死
「シャーロック・ホームズ物語を(中略)みんな読みたいという人には、なるべく(中略)発行順に読むことをおすすめする」。(『シャーロック・ホームズの思い出』の解説、新潮文庫、コナン・ドイル著、延原謙訳 P348より)
訳者がいうまでもなく、ある作家の各品を発行順、つまり時系列的に読むことは、作者の成長ぶりや作風の変化―「シャーロック・ホームズもの」の場合は、事件の背景変化―がわかって、作品への共感を得やすいです。
私が、「作者の成長ぶり」を評価するに値するかもわかりませんが、特に、同世代の作家の場合、「一緒に歩み、成長できる」感が好きです。
「ホームズもの」の場合は、同時代作家ではないので、ホームズの時代時代の空気感を味わいながら、また、その活躍の華々しさを感じながら、ホームズと歩みを一緒にしながら、作品を楽しんでいます。
この楽しみは、時系列的に読まずとも味わえますが、やはり、時系列的に読んだ方がいいです。例えれば、前者は「つまみ食い読み」。後者は「フルコース読み」というべきです。
残念ながら、私は「つまみ食い読み」をしてしまいました。そして、今回紹介する「最後の事件」を、「ホームズもの」の最終編と思い込みの勘違いをして、読んでしまいました。(今回ではありません、小学生時代最初にこの作品を読んだ時です)
「ドイルはこの一冊かぎりでもうホームズ物語を書かないつもりだった」(同書 P347より)と、「最後の事件」は、当初はまさに「最後の事件」となる予定。つまり、「ホームズもの」の最終編でした。
しかし、最終編としては、物語の終わり方が、勧善懲悪の探偵ものとしては、釈然としません。
例えば、ホームズ最大の敵を倒して、ロンドン、いや、ヨーロッパの平静を取り戻して、ホームズは人知れずこの世から消えてしまう。このような終わり方が、ホームズという我らがヒーローの去り方だと思います。ネタばれとなるので、終わり方の詳細は、割愛させて頂きますが、読み方によっては、「ホームズの完敗」との解釈もできます。だからでしょう。「この短編がひとたび発表されると、世評はごうごう、もっと書けとう哀願や脅迫やら、(中略)作者のことを人でなしとののしる投書まで舞いこむ始末だった」。(同書 P347より)
このような背景もあり、コナン・ドイルは、56の短編と4つの長編と計60の「ホームズもの」を残しています。なんと、「最後の事件」は、31番目の作品。最後どころか、「円熟期に起こった事件」なのです。非難ごうごうのおかげで、私たち読者は、60もの「ホームズもの」を楽しむことができるのです。釈然としない終わり方も、こうなれば、シメタものですね。
さて、私のこの作品評は、多少辛口になってしまいましたが、実は大好きな作品なのです。それは、風光明媚なスイスを舞台にしているからです。「深夜プラス1」(ギャビン・ライアル著)、「聖獣配列」(松本清張著)と並び「最後の事件」は、私がお勧めする「三大スイスもの冒険ハードボイルド」の一つです。釈然としない終わり方故に、かえって、ホームズに感情移入し、自分もスイスを冒険した気分になれるから、お気に入りの一遍です。
ちなみに、コナンドイル自身は、推理小説かではなく歴史小説家になりたかったようで、ホームズの人気が出ることをよしとしていませんでした。
世界で最も有名な探偵を生み出した作家は、その有名な主人公を好きではなかったようです。
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平成31年度技術士試験が見えて来た:その1
31年度の試験内容が見えてきました。
技術士会からは資料が公開されています。
20部門96科目は20部門69科目に統合されます。
ただし、建設や電気電子はほぼ変化ありません。
数だけ書くと
機械10科目が⇒6科目
船舶海洋3科目が⇒1科目
航空宇宙3科目が⇒1科目
電気電子5科目が⇒5科目(名称のみ一部変更)
化学5科目が⇒4科目
繊維4科目が⇒2科目
金属5科目が⇒3科目
資源3科目が⇒2科目
建設11科目が⇒11科目(名称を含め変化無し、先約科目の内容は微妙に変化)
上下科目が⇒2科目
衛生工学5科目が⇒3科目
農業7科目が⇒5科目
森林4科目が⇒3科目
水産4科目が⇒3科目
経営工学4科目が⇒2科目
情報工学4科目が⇒4科目(名称のみ一部変更)
応用理学3科目が⇒3科目(名称を含め変化無し、先約科目の内容は微妙に変化)
生物3科目が⇒2科目
環境4科目が⇒4科目(名称を含め変化無し、先約科目の内容は微妙に変化)
原子力5科目が⇒3科目
合計で20部門は変化無し、科目のみ96科目が統合され69科目になりました。
もっとも大きく変化したのが機械部門です。
10科目が6科目ですから4科目減っています。
統合内容は下を見て下さい。
あるいは、技術会のサイトで確認してください。
すでに、一般部門をお持ちの方で、31年度の総監試験を受ける場合、科目に注意して下さい。
シャーロキアンのシャーロックホームズ:第8回『海軍条約文書事件』
「シャーロック・ホームズもの」を読んで感じることの一つは、導入部の巧みさです。
読者を一気に物語にひき込みます。
『海軍条約文書事件』は、助手兼記録係であるワトソンの回想によって、始まります。
「私の結婚直後の七月は、三つの興味ある事件があったので、私には思い出が多い」。 (『シャーロック・ホームズの思い出』の『海軍条約文書事件』新潮文庫、コナン・ドイル著、延原謙訳 P261より)
所帯じみた文章で始まる『海軍条約文書事件』は、ワトソンの「ホームズ愛」を感じることができて、何とも微笑ましい気分になります。この文章の後に、ワトソンは、学生時代の友達で、保守党の大政治家ホルダースト卿を叔父に持つパーシイ・フェルプスの手紙を紹介することで、事件の幕を開けます。
「君の友人ホームズ氏を私のところへご同伴ねがいたいのです。(中略)私としてはこの事件に対する同氏のご意見をうかがってみたいです。(中略)この不安のなかにいる私は、一刻千秋の思いです」。(同書P263より)
一刻千秋の思いで、ホームズの訪問を待っているフェルプスの手紙に、ワトソンは感動します。自慢の友人・ホームズは仕事好きなので、この仕事を引き受けることは、容易に想像できるし、そうなれば、ホームズの武勇伝の記録も重ねられて、ワトソンも嬉しい限りです。
「妻も一刻もはやく彼に事情を話したほうがよいと賛成してくれたので、私は朝の食事をすませて一時間とたたないうちに、早くもベーカー街のあのなつかしい部屋を訪れたのである」。(同書P264より)
所帯じみて、「結婚しました」と世間に宣言しているものの、新婚の妻に関して言及している箇所は、冒頭の一文とこの文章のみです。「ベーカー街のあのなつかしい部屋」の主・ホームズを訪問する喜びの方が、新婚の喜びよりも勝っているようです。
「ワトソンは十七年間もホームズと仕事をし、一緒に暮らしていたというのだから、おそらく二人の間には、文章には記されてない何か微妙な心の通じ合いがあったに違いない」。(『シャーロキアンは眠れない』飛鳥新社、小林司・東山あかね著)
この指摘のように、『海軍条約文書事件』の導入部を通じても、ワトソンの並々ならぬ「ホームズ愛」を感じることができます。青臭い表現ですが、「男の友情」に癒されながら、『海軍条約文書事件』の進展を楽しむことができます。
さて、フェルプスの手紙を読んだホームズは、電光石火の推理を働かせます。事件によって病気衰弱したフェルプスは、口述筆記にて、手紙を作成しています。
「女の筆跡だね。しかも珍しい性格の女だ。(中略)依頼人の身辺にはよかれ悪しかれ特殊の性格をもった人物がいるとわかれば、何かになるよ。なんだか面白くなってきた」。(同書P265より)
阿吽(あうん)の呼吸です。ワトソンの期待通りにホームズは、事件に興味を示します。そして、筆跡を見ただけで、「依頼人の身辺にはよかれ悪しかれ特殊の性格をもった人物」に目をつけます。
ワトソン同様の「ホームズ愛」にかき立てられた読者を、一気に電光石火の推理の世界に引き込んでくれます。
導入部の引き込みの強さは、「シャーロック・ホームズもの」に共通する魅力です。すなわち、それは、小説を読む醍醐味でもあります。