takumi296's diary

技術士・匠習作の考へるヒント

航空機事故は、印象が大きい:テネリフェの悲劇

1977年3月27日17時6分(現地時間)、スペイン領カナリア諸島テネリフェ島にあるロス・ロデオス空港の滑走路上で2機のボーイング747型機同士が衝突し、乗客乗員合わせて583人が死亡しました。死者数においては史上最悪の航空事故であり、死者数の多さなどから「テネリフェの悲劇 / テネリフェの惨事 (Tenerife Disaster) 」とも呼ばれています。

 

私は、この事故の関する記事をこれまで2回書いています。

2013年3月27日

takumi296.hatenablog.com

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なぜ2回も取り上げたかと言うと、1つは、大きな事故だからです。でも、もう一つ理由があります。それは、お粗末なヒューマンエラーが根本の原因だからです。

これまで2回も取り上げましたが、今回は3回目と言うことで、別な視点も加えてこの事故のことを取り上げます。場所は、アフリカ大陸の左隣、地図で見ると以下の場所です。

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もっと拡大すると

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観光の島ですから、景色は素晴らしいです。

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島の面積と人口は、面積は2,034平方キロメートル、人口は90万人です。

参考までに東京都の面積は(2,190平方キロメートル)。

大阪府は、(1,905平方キロメートル)。

しかし、世界遺産が二つもあります。

 

  1. サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ - スペインが大航海時代に築いた美しい都市。ラ・ラグーナと呼ばれています。これが世界遺産
  2. テイデ山 - スペイン国内最高峰(3718m)。これも世界遺産です。

事故は、こんな島で発生しました。

前述しましたが、死者数は、583人、生存者は乗客54人と乗員7人です。

何しろ、ジャンボ機同士の衝突ですから、こんな大事故になったのです。

 

パンアメリカンパンナム)航空1736便は、ロサンゼルス国際空港を離陸し、米国を横断して、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に寄港しています。機体はボーイング747-100型です。乗客380名、乗員16名が乗っていました。こちらは、生存者が61名。
 

 KLMオランダ航空4805便は、オランダからの保養客を乗せたチャーター機で、事故の4時間前にアムステルダムのスキポール国際空港を離陸しています。機体はボーイング747-200B型。乗客234名、乗員14名が乗っていました。生存者0名。
 

 どちらの便も、最終目的地は大西洋のリゾート地であるグラン カナリア島のグラン カナリア空港(ラス パルマス空港)でした。
 

 最終目的地に近づく途中、パンナム機は、グラン カナリア空港(ラス パルマス空港)がカナリア諸島分離独立派組織による爆弾テロ事件と、更に、爆弾が仕掛けられているという予告電話(結局は虚偽だった)のため、臨時閉鎖したと告げられます。パンナム機は空港閉鎖が長くは続かないという情報を得ており、燃料も十分に残っていたため、着陸許可が出るまで旋回待機したいと申し出たものの、他の旅客機と同様に近くのテネリフェ島のロス ロディオス空港にダイバート(代替着陸)するよう指示されました。KLM機も同様の理由でロス ロディオスへのダイバートを指示されます。


 テロ事件の影響で、他の飛行機もロス ロディオスへ数多くダイハードしていましたから、ロス ロディオスは混雑しています。なにしろ、1941年開港の古い地方空港であり、1本の滑走路(ランウェイ)と1本の平行誘導路(タクシーウェイ)および何本かの取付誘導路を持つだけの規模で、地上の航空機を監視する地上管制レーダーはありませんでした。以下は、当時の空港を図で表したものです。

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 KLM機は、滑走路の反対側まで行ってから反転し離陸体勢に入りました。この時、管制官スペイン語訛りの英語で「OK・・・standby for takeoff ・・・・I will call you」と言ったのですが、濃霧の影響でノイズが多く「OK」以降を聞き取ることができませんでした。封鎖で足止めを食らい、乗務員も疲れていたかもしれません。また、これ以上遅れると連続勤務時間が一六時間を超えることになり、今日中にオランダに帰れなくなる可能性もありました。KLMオランダ航空には、クルーの職務時間の超過に関する規則があったのです。そのため、機長は遅れたフライトを急いで再開しなければならないと考えていた可能性もあります。
 

 結局、KLM機は、離陸を開始します、濃霧のため滑走路の反対側からこちらに向かうパンナム機は見えません。スロットルを上げて離陸しようと走り出したときパンナム機が目の前に現れました。パンナム機は左の誘導路に逃げます、KLM機は上に飛び立って衝突を避けようとします。しかし、どちらも間に合いませんでした。KLM機はパンナム機を飛び越えようとして、高さが足りず天井にぶつかって反対側に落ちます。この衝突事故で583人の命が奪われました。
 

 KLM航空の機長は、パイロットのインストラクターでもあり、コックピットでは絶対の権力がありました。副操縦士も航空機関士もまだ離陸許可が得られていない状態なのに離陸を開始しようとする機長に異議を唱えることができません。命に関わることなのにです。憶測ですが、この機長はいつもシミュレータで訓練を指導していたのですが、そこでは管制官とのやりとりはありません。そのため、すぐに離陸する癖がついていたということも考えられます。

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生存者がいないのは、KLM機です。こちらは、10メートル程度ですが、飛び上がっていましたから、その高さから落ちたことになります。

パンナム機は、機体の真ん中あたりに体当たりされましたので、機体の先頭にいた機長などは助かっています。

 

この事故の後、管制室とパイロットのやり取りに関する言葉は厳格に決められ、それを遵守するように法改正が行われましたが、実際には守られていません。

その証拠に、2008年2月16日に新千歳空港で2機の航空機(747とMD-90)が滑走路上でニアミスするというテネリフェ事故と全く同じ大惨事寸前の状況が発生しました。

新千歳空港は、 航空自衛隊千歳基地と隣接しています。そのため、管制は航空自衛官によって行われています。本事例の管理官は当時25歳でしたが、調査時のインタビューではテネリフェのジャンボ機どうしの衝突事故を知らないといったそうです。

しつこいですが、テネリフェの衝突事故時の管制官は、tandby for take off (離陸に備えよ)”と言ったのが、機長は離陸許可に聞こえてしまいました。

そのときの事故以来, Take offは離陸許可以外に使わないことが勧告されました。しかし、航空自衛官には伝達されなかったようです。

こんな事故は、何時また起きるか分かりません。

 

 

 

 

ハラールとハラーム:異文化の理解はできるのか?

これも以前取り上げました。

インドネシアの味の素事件です。

 

以下は、

cilsien.info

から

インドネシア味の素事件(2001年)

 2001年1月、インドネシア味の素のうま味調味料"AJI-NO-MOTO"がハラル認証を受けながら、認証後に発酵菌の栄養源を作る過程で使用する触媒に豚から抽出した酵素が使われていたことが判明し、現地日本人社長を含む数名が逮捕された事件。
現地の味の素は東部ジャワ州モジョクルトの工場の一時的操業停止と商品の回収を実施。一部のイスラム教は「味の素はイスラム社会をだました」と工場前で訴える騒動も起きた。
 味の素は「ハラルの基準を満たしていない商品に、認証マークを添付してはならない」とする消費者保護法違反に問われた。
 事件の背景にはインドネシア内で反政府の動きもあったのではないかとも言われたが、認証を受けた直後の原料変更で、その成分を把握していなかったことや、その変更を認証機関に報告せず認証マークを付け続けていた味の素のイスラム教戒律に対する認識の甘さに課題があったと思われる。

 なぜか、この事件の事をグーグルで検索すると、私の記事がトップで表記されてしまいます。

たいしたこと書いていないのですが、日本側の関係者だった人と知り合ったのがきっかけで書いてアップしました。

takumi296.hatenablog.com

イスラムは宗教に関して厳格です。私は、誕生したのがキリスト教より600年後だというのが、原因だと思っています。言い換えると、宗教的に若いのです。若いから元気がある、真面目、ストイックなんだと思っています。

600年前なら、キリスト教だった魔女裁判をやっていました。

 

ところで、ハラールとハラームですが、簡単に説明しましょう。


インドネシアは、国民の90%近くがイスラム教徒です。彼らは、豚肉は食べませんし、酒類は飲みません。さらに、ラマダン(Ramadan)の聞の1カ月は日の出から日没まで断食をします。厳しい戒律がある彼らには、食べ物に関しても配慮が必要です。

東京オリンピックの時には、世界中から大勢のイスラム教徒が観光に来るはずです。っもしかしたら、イスラム教徒と知り合いになるかもしれません。

また、このブログを読んでいる人で、食べ物を扱っている人がいるかどうか分かりませんが、ビジネスチャンスです。日本人は、このハラールとハラームについてほとんど知りません。今から備えて準備すれば日本に来たイスラム教は皆さん揃って、あなたのところに食べに来ます。または、食べ物を求めに来ます。

(私の住む埼玉県坂戸市にも駅の近くに、ハラール認証を受けたお店があります。)


そのなかでも特に重要なのが「ハラール」と「ハラーム」です。イスラム教で口にすることが許された食品がハラールで、禁止されている商品がハラームと覚えておけばよいでしょう。ハラームというと豚肉が思い浮かびますが、それだけではありません。

豚、は虫類、昆虫類およびそれらからできた副産物、さらに古くからの作法にのっとって屠殺されていない牛、羊、鶏なども含まれます。

味の素の事件は、豚から抽出した酵素を触媒に使っただけです。

豚肉を食べさせた訳ではありません。

イスラム教徒にとって、ハラールであるかないかの区別は非常に重要なものです。イスラム教徒に対してハラールでないものを提供するということは、腐ったものを出すのと同じことを意味します(あるいは、もっと悪い)。
そして、彼らが食べられるように一定の作法で加工や調理した食品がハラール食品で、あり、独自の認定機関で認証マークが付与されます。

 

とても親日的な人が多いインドネシアです。2億の人口を抱えた途上国はこれから発展します。ビジネスパートナーとしても大切にしましょう。

また、日本人は、食べ物の禁忌という考え方に慣れていません。「なんで?」と思う人が多いはずです。ですから、本質的な理解はできないでしょう。

でも、理解できなくても知ることはできます。

そもそも、日本だって昔は食べ物の禁忌たくさんあったのです。不思議ですよね、餓死者がでるような時代には、食べていけないものが多くあり、食べ物があふれる時代には、食べてはいけないものがないのです。

 

 

 

 

 

 

服装というもの

So may the outward shows be least themselves: The world is still deceived with
ornament.

時として外見は実体とはおよそかけ離れているもの。
世間はいつでも上面の飾りに欺かれる。
ベニスの商人」第3幕2場

シェイクスピアの台詞です。

この場面は、別にお洒落の話でもありませんし、着るものの選び方を説いている訳ではありません。唐突でしたが、私の好きな場面でしたので引用しました。

 

靴のことから初めて、ネクタイやワイシャツまで、ここに色々書きこみました。

最後はやはりスーツのことを書かなければならないでしょう。ですが、せっかくですから着るものに関する考え方もアップしておきたいと思います。

私も30代半ばまでは、着るものに関して無頓着でした。仕事上、スーツはある程度必要でしたが、毎日着ることはありませんでした(今は、ほぼ毎日着ています)。

ですから、1年に2着、ボーナスの時に1着づつ購入すれば良かったのです。

靴も基本的にラバー底のものでした。また、面倒なので紐靴は履きませんでした。しかし、ある時、自分の全身が写っている写真を見て「なんだこのみすぼらしい恰好は?」と思ったのです。40歳になる直前くらいだったと思います。

すでに若くはありません。若い時は、ジーパンにTシャツでもそれなりに見えるのですが、年を取るとそうは行きません。

愕然として考え方を改めました。

とは言え、それまで服装のことなど考えたことがありません。お洒落について考えてもセンスがありませんから、どんなものをどのような場所で着れば良いのか分かりません。少し困りました。

また、それまでは、スーツも「紳士服の〇〇」のようなお店で購入していました。当時、そのような店では、客の話を少し聞いてサイズを合わせて売るだけでした(今は、知りません)。

そこで、百貨店の紳士服売り場に行きました。今でも覚えていますが、紳士服売り場を適当に見まわし、一番格好良く見えるマネキンのスーツをセットで購入しました。店員さんに「これ、そっくり全部下さい」と言ったのです。

つまり、スーツ、ワイシャツ、ネクタイ、ベルトのワンセットです。10万ぐらいだったと思います。メーカーは、オンワード樫山の「五大陸」でした。

私は、池袋発東武東上線の住民なので、池袋の東武百貨店5階紳士服売り場の『五大陸』です。

この時の店員さんが、実に良い人で私の注文に驚きながらも、サイズを揃えてくれて、さらに色々と教えてくれました。すっかり気に入った私は、その後5~6年の間スーツは全てその店で「五大陸」ブランドを購入しました。正直の話、英国スーツとイタリアスーツの違いなどもその頃知ったのです。

また、それまでワイシャツは常に真っ白のものばかり着ていましたが、日本人には、薄めのブルーの方が合うと言うことも教わって知りました。日本人にはと言うより、黄色人種にはと言った方でが良いでしょう。今では、ほとんどのワイシャツが薄いブルーです。

繰り返しますが、私は、自分の服装センスを信用していません。ですから、クラシックスタイルに決めています。これなら、ルールがあるからそれを守ればよいのです。また、長い間に、広く世の中に馴染んでいます。奇異に見られることもありません。

そもそも、私にとってお洒落とは何かと言うと、周りの人に不快な思いをさせない、逢った人に失礼にならない恰好です。そう思っています。ファッション誌に出てくる恰好がお洒落ではありません。もちろん、そんな恰好が板についている人はそれで良いのです。

私は、そうではありませんから、伝統的な恰好をするだけです。

 

 

 

 

 

 

 

ワイシャツの基本

ワイシャツは、スーツの下で動きます。ですから、スーツの動きに合わせて動くワイシャツは、着心地が良いのです。

着心地の良いワイシャツは、長時間着ていても、身体が違和感を感じません。素材には十分拘った方が、良いと思います。

 

日本では時々、半袖シャツにネクタイを締めて、上着を羽織る方もいますが、あれは反則です。加えて、これも日本では多いですが、ボタンダウンのシャツにスーツを着るのも反則です。とは言え、あまりに多く人がボタンダウンにスーツを着ています。そのため、だれも変に思わなくなったと言うのが正直のところでしょうか。

ボタンダウンのシャツは、元々、スポーツをするときに襟を固定させたいと言うアイデァから生まれました。ですから、フォーマルなスーツの下に着るべきワイシャツではありません。ブレザーなら大丈夫です。ブレザーは、スポーツ用ジャケットですから、ボタンダウンのワイシャツと合うのです。

当然のことながら、冠婚葬祭でボタンダウンのワイシャツは不可です。ビジネスなら、業界によると思います。

私は、カジュアルな場所以外ではボタンダウンのワイシャツを着ることがありません。また、ボタンダウンの場合、襟のボタンは外してはいけません。これも重要な反則です。ネクタイを締めなくても、襟のボタンは必ず締めることです。

次に、襟の高さです。首の長さは人により多少異なりますが、日本人の場合、概ね40~45ミリで合うと思います。スーツを着たときに、後ろから見て15ミリ程度、見えるのが一番綺麗に見えます。

また、正面から見たとき、襟の開き角度は、150~160度が綺麗に見えます。

前回も書きましたが、私は、襟先を丸くするラウンドというスタイルの襟が好みです。これが丁度そのくらいの角度になっています。

日本のオーダーシャツは、普通に注文すると、この角度が狭いようです。いわゆる「ワイド」で注文しないと、150度なんてなりません。レギュラーだと90度以下のものがザラにあります。

Vゾーンの重要な部分ですから、購入の時は気にして下さい。

テーラーフクオカでも、下の写真は「ワイドスプレッド」です。

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「レギュラー」だと以下のような開き具合

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例えば、テーラーフクオカ以外でも、LaFabricでは、

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lafabric.jp

見て頂ければわかります。

デザインのディテールに関しては、人により好みはあるでしょう。

私は、自分のセンスに自信がないため、クラシックなスタイルに拘っているだけです。クラシックなデザインは、型が決まっていますから、それに従えばできあがりです。あれこれ、悩む必要はありません。また、フォーマルな席でも、失礼なことになりません。

ワイシャツのオーダーメードは、通販でやっているところもあります。しかし、これは自分で測定しなければなりません。少し無理があります。せっかく作るなら、お店でプロにしっかり測定して貰いましょう。

サイズが身体にフィットして、素材がよければこの上ない着心地のワイシャツになるはずです。

 

 

 

 

接近するオーストラリア、日本にぶつかるのは何時?

 

1994年のGPS測定から22年経って調べてみたら約1.5メートル(150センチ)北に移動していました。

オーストラリアがいずれ日本にぶつかるのは、30年以上前から言われていました。

しかし、その移動速度は予想よりも早かったようです。

それにしても、世界で6番目に大きい大陸が1年で7センチも動くのです、大陸移動説が当初受け入れられなかったのも無理はありません。

とは言え、20年で1.5メートルですから、20,000年で1.5キロメートル。2,000万年で1500キロメートルです。日本とぶつかるのは、5000万年後ぐらい、人類が生きている可能性すら低いです。ただし、そのずっと前に(500万年後ぐらい)インドネシアにぶつかります(これでも、人類はいない?)。

振り返って昔を考えると、オーストラリアに人類が住み始めたのは4万年前ぐらいです。ですから、その頃から考えれば、すでに3キロメートルも北に移動したことになります。

人間の脳は実に様々なことを考えたり、抽象化したりできますが、地質学的な長期のスパンを考えることはできないようです。もちろん、私もできません。5000万年後と言われても、5000万年が分かりません。「長い時間?」ぐらいしか頭に浮かばないでしょう。

恐らく、地球の気候変動に対して具体的なアクションを起さないのもそこにあると思います。2100年になると、地球の平均気温は〇度上昇すると言われても、何も考えが浮かびません。

そんなことより、来月の支払いが重要だし、来年の受験が大事です。5年後に迫った定年の後、どうやって生活するのかそちらの方が気になるのです。

私たちのDNAは、将来に備えて進化してきたのではありません。その時、その時の状況の中で、その環境に適応して生き延びてきたのです。38億年そうやって生きてきたのですから、いまさら変えられないでしょう。

「5000万年後に、オーストラリアは日本とぶつかる? じゃ、何をすればいいんですか?」

今のところ地熱発電にはあまり期待しない方がよい

メルマガ:ダイヤモンド・オンライン
16/9/28号に以下の記事がありました。

diamond.jp

正直言って、現在の地熱発電は効率が悪過ぎます。

エネルギー庁が公表している資料から蒸気量と発電量の比から、日本の地熱発電所の平均発電熱効率を求めることができます。その効率はなんと、15~20%の範囲です。このため発電量の4倍以上の熱が地上に放出されます。殆どの地熱発電所は山中にありますから、冷却手段は冷却塔を用いるしかありません。大規模なものを作ると、周辺が蒸し暑くなるでしょう。

また、これは原因不明ですが、ほぼ全ての蒸気井戸は数年で出力が落ちます。ですから、どこの地熱発電所でも、数年毎に補充井の掘削を実施を実施しています。平均して 3.1年に 1 本の頻度で掘削しているようです。しかし、その補充井を掘削したとしても、ほとんどの発電所が所定の出力を維持できていません。実際、年間発電電力量は2012年のエネルギー白書によると1997年の37.57億kWhをピークに2010年には26.32億kWhと30%低下しています。

なにしろ、今では地熱発電所を観光名所にして副収入をあてにしています。

政府の予算も、1985年をピークに2003年には予算ゼロまで落ちました。

よく、地熱発電のデメリットとして、設置場所が国立公園の中になる場合が多く、制約条件が厳しいと言います。しかし、そんなことより、今の技術では効率の悪さと、出力低下を何とかしないと大きく普及させるのは難しいのです。国立公園内に設置されるのは、水力発電のダムなども同じです。

私は、日本で地熱発電を普及させるなら「高温岩体発電」しかないと思っています。
これは、天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気や熱水を得る方法です。この方法なら、温泉と競合もしません。


日本の場合は、この温泉との競合が一番のネックになっているのです。ようするに、地熱発電ができるところは、温泉地帯です。発電用に蒸気をどんどん使えば温泉が枯渇するのではないかという不安です。これを回避するには、地下の水(温泉?)を使わない、「高温岩体発電」しかないと思います。

要するに、地下の熱源で注水した水を蒸気に変える訳ですから、これなら温泉も枯渇しないでしょう。もちろん、成分に影響が出るか出ないかは、今のところ分かりません。

www.enecho.meti.go.jp

ただ、「高温岩体発電」は、今のところ技術的に確立されていません。

現時点の課題として「地震の誘発」と「注入水の確保困難」も指摘されています。
スイスのバーゼルでの事例では注水により地震が誘発され、その地震により約900万ドルの物的損害が発生しています。この事故では、プロジェクトは中止され開発企業の社長が起訴され裁判にかけられました。加えて、注入した水の回収率は80%以上でなければ実用化に影響が出るとされています。

 

地熱発電は、太陽光や風力と異なり、24時間稼働可能です。メンテナンスを除けば、常に発電できる自然エネルギーは、水力と地熱だけです(細かなものは除きます)。

国内の地熱発電所は、70%程度の稼働率です。先進国では、電気は常に必要です。天気の良い時だけ、工場を動かすという訳には行きません。風力も同じです。ですから稼働率の高さは地熱の魅力です。

しかし、詳しく調べて行くと、やはり問題は山積みです。

何とか、この問題を解決できる技術を考え出し、日本のエネルギー状況を明るく変えて欲しいと思っています。

 

 

『あなたの体は9割が細菌』って本当ですか?

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売れているみたいです。

内容は専門的ですが、文章は平易です。

河出書房新社のサイトには、著者アランナ コリンの紹介があります。

インペリアル・カレッジ・ロンドンで学士号と修士号を取得し、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン動物学協会で進化生物学の博士号を取得。『サンデー・タイムズ・マガジン』誌などに寄稿している。

博士号を持った、科学ジャーナリストと言ったところでしょうか?

日本には、すくないですね。

この本、話としては面白いのですが、この体細胞と体内細菌数の割合には無理があります。

一昔前に流行った、数値です。

要するに、体内細菌の数は、体細胞の10倍程度、そうすると比率で言えば9割程度が細菌と言うことになります。

では、どうやって人の体の細胞数を数えるのでしょうか?

また、体の中の細菌数はどうやって数えるのでしょうか?

 

実は、体細胞の数を数えるのはとても難しいのです。

そのため、以下のように推定します。

人の体細胞で一番多いのは何でしょうか?

答えは赤血球です。全身の細胞に酸素を運ぶ必要があります。ですから、数は当然多くなります。

その数は血液1μℓあたり成人男性で420-554万個、成人女性で384-488万個程度です。
これは、献血の前に測定器で測定してくれます。あまり少ないと献血できません。
私は、よく献血に行きますが、大体460万個とでます。繰り返しますが、1μℓ中にこの数です。総数ではありません。血液の体積の50%は、赤血球です。

標準的な体格の成人なら、およそ3.5-5リットルの血液があります。そうなると、体内の赤血球の総数はおよそ20兆個になります。
実は、体細胞の数は、この赤血球との比率から推定されています。

その比率から計算すると、体細胞の数は、40兆~70兆と推定されています。倍近い開きがありますが、実際に体重40キロの痩せたおじさんと、体重120キロの太ったおじさんでは、それくら細胞数も異なるかもしれません(肥満細胞はそれ自体大きいのですが)。

 

また、体内の細菌数はどうやって数えるのでしょうか?

体内の最近は、ほとんど消化器官の中にいます。そもそも、他の器官にいたら病気で死んでしまいます(敗血症)。そこで、1グラムの便の中にどれくらいの細菌がいるのかを調べます。

そこから推定された、最も信頼性の高い数値は、体内細菌数40兆程度と言うものでした(胃の中のピロリ菌も数えます)。

ですから、体細胞と体内細菌の数は概ね等しいと考えるのが妥当なようです。

現在、この世界の専門家で、9割が細菌説を信じている人はほとんどいません。

逆に「ゴロが良いから、都市伝説として流行ったのだ」と言う方までいます。

以下、ナショナルジオグラフィックから、体内細菌の電子顕微鏡写真です。

あなたの体の中もこんな感じです。外見の美醜とは関係ありません。

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とは言え、この本、体内細菌の重要性を伝える意味では、良い本です。

売るためのタイトルは、この程度なら方便なのでしょう。

 

ちなみに、このような数値の間違いは随所に見られます、科学の良いところは、それを自己修正できるところにあります。

上記と関係ありませんが、皆さん、マグロの泳ぐ速度ご存知ですか?

少し前は時速80キロとか、言われていました。これも完全な間違いです。

15キロ~20キロが限界です。

そもそも、空気の780倍の密度の中でそんなに早く移動できるはずはありません。

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

 

ワイシャツという下着

ワイシャツは、元々、男女共用の下着です(フランス語: chemise:シュミーズ 麻シャツの意)。
16世紀~17世紀頃に服の切れ目で下着を見せることが流行し、白色の麻のシャツになったのが、現在の原型と言って良いでしょう。
第二次世界大戦頃には、イタリアでアウターとしても着られるようになりました。また、それがイタリア戦線から帰還した兵士により、イギリスへも伝わったようです。現在のワイシャツは、ほとんどの国で中衣に分類されています。

ヨーロッパの男性は1930年代にブリーフ、トランクスができるまで下着はcombination(裾の長いワイシャツ)だけでした。
その当時は長い裾で股間を覆っていたらしいのですが、手元に資料がありません。ワイシャツの両脇が短く、前と後ろだけが長く垂れていて、一番下のボタンが余っているのはこの名残だと言います。(一番下のボタンは、後の裾のボタン穴に填めるための物でした)。

胸のポケットも本来はありません、下着ですから当然です。
しかし、アメリカでスーツのベストを着なくなって、胸のポケットがないのは不便だったのでしょう。70~80年くらい前から、胸にポケットが付くようになっています。また、襟とカフスは、スタッドボタンで付け外しすることもできました。そのほうが洗濯時に便利です。さらに、外見を変えることも出来ます。

素材は、コットンがお勧めです。それも100番手以上の細い糸で織られた物をお勧めします。

註:「番手」とは、単位重さあたりの長さとして計算する糸の太さ表記法です。
綿糸または綿紡績方式で製造された糸に対して使用されます。単位重さ1ポンド(453.6g)あたりの長さが840ヤード(768m)のものを「一番手」といい、糸の太さが細くなると番手数が大きくなります。

ここで、私がお勧めするワイシャツテーラーを紹介しましょう。

 

新橋と言うか銀座8丁目にある「テーラーフクオカ」です。

3枚纏めてオーダーすると少し安くなります。

私は何時も下の「ラウンド」と呼ばれる襟先の丸いデザインで注文します。

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また、カフスもラウンドです。

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胸ポケットはありません。

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フロントスタイルは、表前立です。

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さらに、バックスタイルはダーツ入りです。

背中の両脇に、細いタックのような折り目が入ります。

 

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これは、デザイン的にセンターにボックスプリーツ

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あるいは、タック入り

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とは異なります。少しクラシックなデザインと覚えておけば良いでしょう。

 

加えて、襟はクレリックが好きです。

要するに、襟だけ白にする訳です。クレリックとは、牧師あるいは聖職者。

 

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そして最後の拘りが、ボタンホール周りを色糸に変更です。

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随分色々と拘っているようですが、なじみの店なら、「前回と同じスタイルでお願い致します」と言えば、後は生地を選ぶだけです。

1回に3着注文しますが、これまで3回頼んでいます。

色は、白にピンストライプが1着、薄いクリーム色も1着ありますが、他は全て異なる折り目の薄い青色です。面倒なので写真は載せません。

 

テーラーフクオカのコットン100%は、100番手の生地です。

他に、価格は少し安いですが、ポリエステル混紡の生地もあります。

着心地は断然コットン100%が上ですが、皺になり易いので、上着を脱ぐことはできません。

次回は、サイズその他についてご説明しましょう。

 

平成29年度:技術士二次試験対策講座のお知らせ

平成28年度の講座を受講された方で、29年度に持ち越しした方が数名いらっしゃいます。


そのため、すでに数名の受講者様は申込みを頂いたことになります。
定員制の講座ですので、正式に平成29年度の講座申込みを開始致します。


受付するグループウェア講座には、3つのコースがあります。

 

  • Aコース:毎月6回の添削コース(他、リアル講座や模擬試験は無料
  • Bコース:毎月4回の添削コース(他、リアル講座や模擬試験は割引
  • Cコース:毎月2回の添削コース(他、リアル講座や模擬試験は割引

Ⅱ-1は2問セットで1回
Ⅱ-2とⅢは1問で1回です。


添削期間は、1月1日~7月試験の2日前まです。ただし、グループウェアには、前年の11月1日頃からログインできます(つまり、2016年11月1日頃)。

当講座の最大の特徴は、添削終了までの時間です。毎年、ほぼ全ての受講者樣から、最高の満足度で評価されています。原則48時間以内(27年度実績は、平均29.5時間)にお返し致します。

本年度からは、グループウエア講座の受講者様全員にステップメール講座もついています。全部で260分程度の動画と200頁弱のテキストがあります。セミナーを聴く感覚で動画を使って学習を進めて下さい。

その他、申込書は無制限で完成するまで添削します。

さらに、グループウェア内の電子会議室を使った質問コーナー等もあります。資料もどんどん充実させています。

最後に、筆記試験合格者の方には、口頭試験問題集に対する解答の添削、並びに、スカイプによる模擬口頭試験(1回:30分)もついています。
料金は

  • Aコース:15万円
  • Bコース:10万円
  • Cコース:5万円

日本人の特徴でしょうか、Bコースを選ぶ方が多いようです。
一方、先にステップメール講座を受講されてから申し込まれる場合、15,000円が割引になります。また、平成28年度の受講者様は、2万円引きです。ただし、満員の場合もありますので、その時はご容赦下さい。


その他、都内だけですが、模擬試験の特典などもあります、ご確認下さい。

分割も承ります、お気軽にどうぞ。

 

ネクタイと言う不思議なアイテム

ネクタイって不思議ですよね。なにしろ、この布きれを首に巻いて身体の前にぶら下げれば、フォーマルなスタイルと認めて貰うことができるのです。

とは言え、最近はクールビズの影響で(言い出したのは小池都知事)、メーカーや業者が倒産するほど売れないようです。しかし、私は夏だろうが何だろうがネクタイを締めます。

ネクタイ(英語: necktie)とは、男性の洋装で、首の周りに装飾として巻く布のことです。ほとんどの場合、ワイシャツの襟の下を通し、喉の前で結び目を作って体の前に下げます。首に巻く細い方を小剣(スモールチップ)、前方に下げる太い方を大剣(ブレード)と言います。

どうしてなのか良く分りませんが、この細い布を首に巻くと、フォーマルな装いとして認めてもらうことができます。スーツを着ていてもネクタイなしでは入場が許されない場所もあります(最近減りましたけど)。

また、色、柄、生地とその種類は実に多種多様です。

確か英国の劇作家バーナード ショウは、「この世に自分と同じネクタイをしている人を見るのは耐えられない」とどこかで書いていたと思います。私は、電車の中でも何となく人の靴とネクタイを見ますが、自分と同じものを見たことがありません。

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少ないでしょうか?多いでしょうか?

だいたい40本ぐらいです。どうしても紺系統が多くなります。

また、やはりお気に入りがあって、靴のようにローテーションで締めるということはありません。

以前は柄を気にせず(と言ってもほとんどドット柄です)、色だけで選んでいましたが、最近は「小さなドット柄」が多くなりました。「ストライプ」は昔から好きではありません。左右対称と言うかシンメトリーなものが好きです。動物や車などの柄はカジュアルすぎて締めることができません。さらに、メーカーやブランドは気にしたことがありません。

日本は、ネクタイの柄をあまり気にしなくて良いのですが、英国などの場合は、フォーマルな場所では小さなドット柄、いわゆる「ピンドット」あるいは、無地が基本です。

「ピンドット」を具体的に書くと直径5ミリくらいの丸、または楕円の点です。

価格は6,000円~12,000円程度の中でばらついています。最も多いのは1万円ぐらいのものです。

やはりこうしてみると、ピンドットは上品に見えます。大きな柄はカジュアルですね。

今後は、無地のものを増やそうと思っています。

ちなみに、何時も自分で選んで購入しますから、どうしても同じようなものになります。そのため、iPadに写真を入れて、見比べながら購入するようにしています。

また、この中に、人から貰ったものは無いと思います。

皆さんは、どんなネクタイを締めますか?

あるいは、締めない派でしょうか?